ピアノの譜読みが一音ずつ止まるとき:音程・和音・次の拍を読む練習

Enea — Vienna Piano School 主宰
Enea

一音ずつ探す読み方から、音の関係を見る読み方へ。バイエルの上がる・下がる形と、《アラベスク》の繰り返す和音を使い、次の音を読む時間を作ります。

音符の名前は分かるのに、ピアノを弾くと一音ずつ止まってしまう。そんな譜読みでは、今の音を確かめる作業が、次の音を読む時間まで使っていることがあります。最初の音を見つけたら、その先を「隣へ上がる」「一つ飛ばす」「同じ形が戻る」という関係でも見てみましょう。

私はレッスンで、止まった音だけでなく、その一つ前を聴きます。次の鍵盤を探しているのか、音符の長さに迷ったのか、両手を合わせたところで読む場所を見失ったのか。音名をもう一度言うだけでは、直らない止まり方もあります。

この記事では、短い譜例を使って、次の三つを扱います。

  • 横の動き:音の高さを、前の音との関係で読む。
  • 縦のまとまり:和音を見つけ、繰り返しと変化を確かめる。
  • 次の拍:今の音を弾いている間に、次に必要な情報へ目を向ける。

五線上の最初の音を見つけるところから始めたい方は、初心者の楽譜の読み方をご覧ください。ここでは、その先の「読める音を、音楽の流れの中で使う」練習を進めます。

音名と音程

たとえば、ドからレへ進むとき。二つの音名を読むことに加えて、「隣の音へ上がる」と捉えます。五線では、線上の音から隣の間へ、または間から隣の線へ移ります。この隣り合う音の関係が2度です。

ドからミなら、ド・レ・ミと数えて3度。五線では一つ隣の線どうし、または一つ隣の間どうしになります。まず出発点のドを読み、次の音が上向きの3度だと分かれば、毎回五線の下から数え直さずに進めます。

ただし、五線上の形と鍵盤上の距離は、調号や臨時記号も含めて読みます。ドとミも、ドとミ♭も3度ですが、響きと鍵盤の位置は変わります。形を見たあとに記号を落とさないことが大切です。調号と臨時記号の読み方では、その有効範囲を譜例で説明しています。

バイエルの4小節

次は、バイエルOp.101第7番の生徒パート、冒頭4小節です。上下ともト音記号で書かれています。右手は中央のドより1オクターヴ上のド、左手は中央のドから始まります。両手は1オクターヴ離れ、同じ音名で動きます。

上がる・下がる、同じ2小節が戻る

バイエルOp.101第7番、生徒パート、第1〜4小節。上下ともト音記号です。

譜例は横にスクロールできます。

4分の4拍子。右手はド・レ・ミ・ファ、ソ・ファ・ミ・レと4分音符で動き、第3・4小節で繰り返す。左手は1オクターヴ下で同じ音名とリズムを弾く。
譜例を大きく表示

第1・3小節

ド → レ → ミ → ファ

隣の音へ、一つずつ上がる。

第2・4小節

ソ → ファ → ミ → レ

隣の音へ、一つずつ下がる。

小節線の前後はファからソへ。形をまとめて見ても、拍の流れは続きます。

最初の右手はド・レ・ミ・ファ。次の小節はソ・ファ・ミ・レです。第3・4小節は、この二つの小節を繰り返しています。一音ずつ読むと片手で16個の音ですが、動きとしては「上がる形、下がる形、その繰り返し」が見えてきます。

まず最初のドを見つけ、続く3音が隣へ上がっていることを確かめます。次に第2小節のソを見て、そこから隣へ下がる形を読みます。小節の境目では、ファからソへ一つ上がります。小節線があっても、音の動きは続いています。

左手も、ド・レ・ミ・ファ、ソ・ファ・ミ・レです。譜面上で二つの段を見比べ、同時に鳴る音が縦にそろっていることを確認します。右手と左手の出発点を鍵盤で見つけたら、短い範囲を両手で弾いてみます。

この譜例では、左右の同じ指番号が一緒に動くわけではありません。右手の最初のドは親指、左手の最初のドは小指です。音の並びと指の動きを混同せず、それぞれの手で上がる・下がる感触を確かめます。

Vienna Piano School
グランドピアノを弾く生徒に、楽譜を示しながら指導する講師。

クラシックピアノ個人レッスン

55分・無料の体験レッスン。

池袋・新宿のピアノスタジオでの対面レッスン。

ウィーン育ちのコンサートピアニスト、Enea。

Enea

ウィーン育ちのコンサートピアニスト

無料体験レッスンを申し込む

開講準備中・お申し込み受付中

同じ形と、変わる場所

繰り返しを見つけたら、戻ってきた形の最初の音とリズムを照合します。このバイエルでは、第1小節と第3小節が同じで、第2小節と第4小節も同じです。最初の2小節で読んだ関係を、次の2小節にも使えます。

ほかの曲では、よく似た形が一つ高い場所から始まることがあります。そのときは、出発点を読み直し、同じ動きがどこまで続くかを見ます。最後の音だけ違う、途中に♯がある、長さが変わる。そうした差に印を付けると、同じところ全部へ音名を書くより、目を向ける場所が絞られます。

弾いたあとには、予想した形と実際の音が合っていたかを聴きます。上がると思ったところで同じ音が続いたなら、楽譜と鍵盤を見直します。形で読む練習にも、出発点と変化を確かめる耳が必要です。

和音を縦に読む

和音では、同時に鳴る音のまとまりを見ます。ブルグミュラー《アラベスク》Op.100-2の冒頭は、左手だけで始まります。下のヘ音記号の段に、ラ・ド・ミが縦に重なり、同じ和音を繰り返しています。

左手の和音は同じ、右手は第3小節から

ブルグミュラー《アラベスク》Op.100-2、第1〜4小節。

譜例は横にスクロールできます。

4分の2拍子。左手はラ・ド・ミの和音を各拍に繰り返す。右手は最初の2小節を休み、第3小節にラ・シ・ド・シの16分音符、ラの8分音符と8分休符で入る。
譜例を大きく表示
縦:ラ・ド・ミ
三つの音を一緒に弾く和音。次の和音も同じ高さ、同じ形です。
横:休みから音形へ
右手の2小節の休みを数え、その間に第3小節の入りを読みます。

最初は下からラ・ド・ミと読み、鍵盤で位置を確かめます。ラからド、ドからミは、それぞれ3度。譜面では、線上の音が一つおきの音名で積み重なっています。この三つで、イ短調のラ・ド・ミの和音になります。

次の和音を見ると、音の高さも並びも同じです。新しい三つの音として全部読み直す代わりに、同じ形であることと、次に鳴らす拍を確かめます。右手が入ってからも、表示した範囲では左手の和音は変わりません。その間に、右手の動きを読む時間を作ります。

さらに先で和音の一部が変わったら、残る音と動く音を分けて見ます。たとえばラ・ド・ミからラ・レ・ファなら、下のラは残り、上の二つが一つずつ上がります。三つの音を毎回ばらばらに探すより、前の和音からの動きとして捉えます。

この譜例で見たいのは、曲全体を速く弾くことより、左手の同じ形と右手の開始位置です。右手は2小節休み、第3小節から入ります。休符の間も2拍子を数え、左右のどちらが次に鳴るかを読みます。作品のリズムや仕上げ方は、《アラベスク》の練習ガイドで詳しく扱っています。

一つ先の拍を見る

先読みは、いつも1小節先へ目を飛ばすことから始める必要はありません。バイエルの譜例なら、最初のドと次のレを見てから弾き始め、レを弾いている間に、その先のミ・ファへ目を向けてみます。音の多い曲では、次の一つの和音を捉えることから始めます。

今鳴っている音が合っているか、音符と鍵盤を長く見比べていると、次へ進む時間がなくなります。最初の位置を準備したうえで、弾いた音は耳でも確かめます。譜面を見る時間を、次の高さやリズムを知るために使います。

長い音や休符も、先を見る場所になります。《アラベスク》冒頭の右手の休みでは、入る音と、その音形の向きを先に確認できます。ただし、目が先へ進んでも、数えている拍は現在の場所に残します。次の音が分かった勢いで、早く弾き始めないように聴きます。

先を読もうとすると今の音が抜ける場合は、範囲を小さくします。2小節まとめて見ようとしていたなら、次の2音へ。拍をゆっくり取り、どこまで見た状態なら音楽が続くかを探します。譜面の密度が違えば、見ておく範囲も変わります。

鍵盤を見たあとの戻り先

跳躍などで鍵盤を見たあと、楽譜のどこへ戻るか分からなくなることがあります。その場合は、目を下げる前に、次に読む小節と拍を確かめます。小節線、休符、長い音など、戻る場所の目印を使います。

同じ位置の中で動くバイエルの譜例なら、最初の鍵盤を確かめてから、短い間だけ楽譜を見て弾いてみます。毎音鍵盤を見る動きが減ると、譜面上のつながりを追う時間が生まれます。一方、広く移動する曲では、必要な位置確認も含めて視線を考えます。

楽譜と鍵盤の往復を減らしたいからといって、覚えた指の動きだけで通してしまうと、読み方を確かめにくくなります。ときには第3小節など途中から始め、最初の音と、その先の形を楽譜から見つけてください。

止まって直す時間と、流れを読む時間

新しい曲を学ぶときは、音や指使いを立ち止まって確かめます。それとは別に、短い範囲を一定の拍で読む練習も作ります。前者では正確な内容を調べ、後者では次の音へ進む読み方を試します。

バイエルの4小節であれば、まず迷う音を確認します。そのあと、弾ける速さで4小節を続け、どこで拍が伸びたかを聴きます。終わってから、その場所の一つ前へ戻ります。止まった音だけを繰り返すと、そこへ入る読み方が残ったままになることがあります。

両手にすると読む余裕がなくなる場合は、右手と左手をそれぞれ確認し、同時に鳴る場所を見てから合わせます。片手で覚えきるまで繰り返すことより、どの情報を両手で見失うのかに耳を向けます。指が追いつかない部分では、速さや弾く範囲も調整します。

次の譜例へ移る目安

同じ短い譜例を何度も弾くと、やがて音を覚えます。その段階では、別の初めて見る譜例にも同じ読み方を使ってみます。狭い音域、単純なリズム、少ない和音など、目で追う余裕のある曲を選びます。

確かめたいのは、最初の音を自分で見つけられるか、上がる・下がる形を追えるか、変わる場所に気づけるかです。完成までの日数だけでは見えにくい、譜読みの中身を聴きます。難しい曲を仕上げる練習と、初めての短い譜面を読む練習を、別の曲で持つこともできます。

レッスンでは、初めて見る短い譜面と、いま練習している曲の両方を使って、どこで読む流れが止まるかを確かめます。音名、リズム、両手、鍵盤の位置を聴き分け、その場で読み方を変えて試します。

Vienna Piano Schoolでは、池袋・新宿のピアノスタジオでの対面レッスンのお申し込みを受け付けています。現在は開講準備中です。55分・無料の体験レッスンで、譜読みで困っている曲や、これまで使った教材をお知らせください。開始時期と体験の日程はメールでご案内します。

この記事をシェア

関連記事