ブルグミュラー《アラベスク》の練習:リズム・左右・仕上げ方

Enea — Vienna Piano School 主宰
Enea

ブルグミュラー《アラベスク》作品100第2曲の練習を、実際の譜例で解説。冒頭の十六分音符と休符、左手の和音、中間部の旋律、最後の和音まで、左右の役割と2拍子を聴きながら一曲を仕上げます。

ブルグミュラー《アラベスク》作品100第2曲を軽快に弾くには、十六分音符の速さと一緒に、短い音形の終わり、八分休符、左右の役割を整えます。冒頭の右手だけが速くなっても、中間部の左手や最後の和音で拍が止まると、曲全体の勢いは途切れてしまいます。

私がこの曲のレッスンでまず聴きたいのは、細かい音が何個入ったかだけでなく、そのあとに来る短い音と休符です。「ラシドシ」の四つが弾けても、次のラを急いで切ったり、休符を飛ばしたりすると、音楽がせかせかして聞こえます。小さな音形が一つずつ話すような、歯切れのよさを探します。

  • 十六分音符四つを1拍に収め、次の八分音符と休符まで聴く。
  • 左手の和音で2拍子を保ち、右手の音形を押しつぶさない。
  • 中間部では、動く左手と長い右手の旋律を別々に聴く。
  • 繰り返し、テンポの戻り、最後の和音を含めて一曲にする。
日差しの入る部屋に置かれた木製アップライトピアノと鍵盤

《アラベスク》の曲と拍子

ここで扱うのは、ブルグミュラー《25の練習曲》作品100の第2曲です。イ短調、4分の2拍子で、冒頭にはAllegro scherzandoと書かれています。速く、戯れるような性格を持つ曲ですが、その軽快さは音の並び方や短い間にも表れています。

譜例では最初の2小節を左手の和音が受け持ち、右手は第3小節から入ります。この前奏も演奏の一部です。右手が始まってから急に速くなると、左手が作った拍と合わなくなります。最初の和音を弾く前に、続く「ラシドシ・ラ」を心の中で聴いておきます。

小節を数えるときは、冒頭の左手だけの2小節を含めます。この記事の第3小節、第12小節などの番号も、その数え方です。練習する版の楽譜に小さく番号を書いておけば、中間部や繰り返しの戻り先を探すときにも使えます。

同じ音形が何度も現れるため、一度覚えると手が先へ走りがちです。似ている小節ほど、最後の音、次の出発点、左手の和音に目を向けます。指が覚えた動きと、楽譜に書かれた変化を照らし合わせながら読みます。

冒頭の十六分音符と休符

第3小節の右手は「ラ・シ・ド・シ」が十六分音符、次のラが八分音符、そのあとが八分休符です。前半の四つで1拍、後半のラと休符で1拍になります。五つの音を同じ長さで並べると、この2拍子の形が変わってしまいます。

ブルグミュラー《アラベスク》冒頭の左手の前奏と、第3・4小節の右手の音形

冒頭の譜例を拡大する。

まず右手だけで、1拍目の四つを静かにそろえ、2拍目の頭に次のラを置きます。そのラを弾いたあとも、次の小節までの拍を心の中で続けてください。鍵盤から指が離れると同時に数えるのも止まると、次の入りが早くなったり遅くなったりします。

音形にはスラーが付き、終わりの八分音符にはスタッカートが付いています。最初の四つを一つの流れにし、最後の音から軽く離れます。離れる動きが大きすぎると、次のラへ戻るのに時間がかかります。音が切れたことを耳で確かめ、手は次の出発を準備します。

第4小節は「ラ・シ・ド・レ」からミへ進みます。第3小節と同じ指の往復だと思い込むと、途中でドに戻ってしまいます。二つの小節を並べて、戻る音形と上がり続ける音形を聴き比べましょう。音の方向が分かると、繰り返しの中にも変化が聞こえてきます。

Vienna Piano School
グランドピアノを弾く生徒に、楽譜を示しながら指導する講師。

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ウィーン育ちのコンサートピアニスト、Enea。

Enea

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指使いと次の位置

冒頭のラに右手の1を置くなら、「ラシドシラ」は1・2・3・2・1というまとまりで試せます。続く「ラシドレミ」は1から5まで進みます。まずはゆっくり、鍵盤の底へ押し付け続けずに、一つずつ音を聴きます。

第5小節では右手の始まりがレへ移り、掲載した楽譜はそのレに1を示しています。前の小節のミを弾き終えたら、休符の間に次の位置へ向かいます。弾く瞬間になってから鍵盤を探すと、レだけ遅れたり強くなったりします。

私はこの移動を見るとき、前の小節の最後のミと、次のレだけを続けて弾いてもらうことがあります。細かい音を一度外すと、休符の長さと移動のタイミングが聞こえます。そのあと十六分音符を戻し、同じ拍のまま二つの小節をつなぎます。

音形の終わりに指を大きく跳ね上げることと、音を軽く切ることは別の動きです。鍵盤の近くで次の位置へ進み、最初の音を慌てずに出せるかを見ます。指番号を変える場合も、短い音形だけで決めず、その前後を含めて試してください。

左手の和音と両手のバランス

冒頭の左手は、ラ・ド・ミの和音で拍を作ります。最初の2小節のスタッカートでは、三つの音が一緒に鳴り、一緒に離れる響きを聴きます。低いラだけが遅れたり、上のミだけが突出したりすると、右手が入る前から拍の輪郭が揺れます。

右手が始まったら、左手の和音を1拍目と2拍目に置きます。第3小節では、どちらも右手のラと同時です。最初はこの二つの一致点だけを弾き、次に間のシ・ド・シを加えます。右手の四つを弾き終えてから左手を探すのではなく、同じ拍の中に両手を置きます。

両手にすると右手だけが強くなる方も、左手の和音が前に出る方もいます。私は左手だけを小さくするように言う前に、右手の音形をどんな声で聞かせたいかを決めます。その声が聞こえるところまで、伴奏の響きを整えます。

練習の初めはペダルを外して、スラーの終わりと休符を聴くと、音の切れ方が分かります。ペダルでつないだ響きの中では、指を離すタイミングの違いが隠れることがあります。最後の和音に響きを加える場合も、まず両手の音がそろっているかを耳で確かめます。

中間部の左手と右手の旋律

第12小節からは、細かい音形が左手へ移ります。右手には付点四分音符と八分音符の長い旋律が現れます。ここで左手だけを追いかけると、右手の歌が消えたり、長い音を途中で離してしまったりします。

第12・13小節、左手の十六分音符と右手の付点四分音符による旋律

中間部の譜例を拡大する。

第12小節の左手は「ソ♯・ラ・シ・ラ、ソ♯、休符」です。右手はミを付点四分音符で保ち、最後の八分音符でシへ進みます。つまり、左手が休符へ入るところで右手のシが鳴ります。二つの手を同じタイミングで切ってしまうと、この受け渡しが聞こえません。

動く手が変わると、聴く相手も変わる

第3小節:右手の短い音形

細かく動く声部
右手はラ・シ・ド・シを十六分音符で弾き、次のラを八分音符で弾く。
もう一方の手
左手は1拍目と2拍目に和音。両方とも右手のラに合う。
休符のところ
右手は最後の八分休符で離れ、次の小節への拍を保つ。

第12小節:左手の動きと右手の歌

細かく動く声部
左手はソ♯・ラ・シ・ラを十六分音符で弾き、次のソ♯を八分音符で弾く。
もう一方の手
右手はミを付点四分音符で保ち、最後の八分音符でシへ進む。
休符のところ
左手が八分休符に入るところで、右手のシが鳴る。
中間部の旋律を聴く練習

右手のミからシだけを歌うように弾き、次に左手を加えます。左手の細かい音に気を取られて、右手のミが途中で切れていないかを聴きます。

最後の八分音符では、左手の休符と右手のシを同じ場所に置きます。次の小節の右手のドまで続け、旋律の行き先も確かめます。

右手だけでミからシへ歌ってから、左手を加えます。両手にしたときにも、右手のミがどこまで続くのかを聴いてください。左手の五つの音がそろっていても、上の旋律の長さが変われば、音楽の呼吸も変わります。

左手のソ♯は黒鍵です。掲載譜では3の指が示されています。次の小節はラから「ラシドレミ」と上がるため、同じ形をそのまま横へ動かす感覚だけでは足りません。音名と指番号を確かめ、黒鍵から白鍵へ移るところを短く取り出して聴きます。

中間部を初めて両手で弾くときは、冒頭より遅いテンポで細部を確かめることもあります。そこから一曲に戻す際には、前後と同じ拍で入れるところまで整えます。ゆっくり読む段階と、曲の中で演奏する段階を分けて考えます。

繰り返しとテンポの戻り

繰り返し記号には1番括弧と2番括弧があります。1回目と2回目で終わり方が変わるので、戻る場所だけでなく、どちらの括弧を通るかも楽譜で追います。右手が弾けるようになってから記号を足そうとすると、手がいつもの終わり方へ進んでしまいます。

練習では、一度、音を出さずに楽譜上の道順をたどります。最初の繰り返しを終えて第12小節へ入るところ、後半の1番括弧から戻るところ、2番括弧を抜けて終結部へ進むところを指で追ってください。その後、それぞれの境目を前後一小節ずつ弾きます。

第18小節にはdim. e poco rall.、第20小節にはa tempoがあります。少し落ち着いた流れから、冒頭の音形へ元のテンポで戻ります。最後の長い音を弾きながら、戻った先の「ラシドシ・ラ」の拍を思い浮かべます。最初の四つだけを急に詰め込むと、テンポが戻るというより飛び出す印象になります。

同じ音形が戻ってきても、前奏から入った最初の場面とは響きの受け取り方が変わります。中間部の旋律を聴いたあとで、細かい動きが再び現れる。その変化を感じて弾くと、繰り返しにも一曲の流れが生まれます。

終結部と最後の和音

終わり近くでは、短い音形がもう一度現れたあと、risolutoと書かれた下降形を両手で弾きます。掲載譜の第32小節です。右手と左手は同じリズムで下り、最後のラのあとに八分休符が入ります。

第32・33小節、両手の下降音形と八分休符、フェルマータ付きの最後の和音

終結部の譜例を拡大する。

この下降形だけが勢いで速くならないように、二つの手の音を一組ずつ聴きます。下降形の最後のラを弾いたら、休符の間に次の和音の位置へ移ります。最終和音に着地する練習では、その和音だけでなく、直前のラ、休符、和音の三つを続けて扱います。

最後の和音にはフェルマータがあります。両手を同時に鳴らしたあと、その響きが落ち着くまで聴いて終えます。弾き切った安心で手をすぐ離すと、曲の最後だけが短くなります。音の長さと離す瞬間までを、演奏の終わりとして練習します。

速さを上げる前の聴きどころ

テンポを上げる目安は、十六分音符だけの速さではなく、休符を含めた2拍子が続くことです。冒頭の音形、中間部の長い旋律、最後の下降形を、同じテンポでそれぞれ弾いてみます。一番速く弾ける冒頭だけで全曲のテンポを決めると、途中で無理が出ます。

メトロノームを使うなら、まず四分音符の拍に合わせ、1拍目の四つと2拍目の音・休符を聴きます。細かい音の間隔がつかめないときは、遅くして八分音符の区切りを確かめます。クリックに追いつくことに気を取られたら、短い音形へ戻り、音の長さから整えます。ゆっくり練習とテンポの戻し方も参考になります。

一度録音して聴くときは、右手のラが休符の直前まで重く残っていないか、中間部の右手の旋律が聞こえるか、最後の和音へ慌てて飛び込んでいないかに耳を向けます。全部の間違いを数えるより、気になった一つの響きを次の練習へ持ち帰ります。

《アラベスク》は、短い音形をそろえるだけでなく、音から離れること、相手の手を聴くこと、曲の終わりまで拍を保つことを学べる作品です。レッスンでは、弾きにくい二小節と、その前後を一緒に聴かせてください。私も楽譜と演奏を聴きながら、どの音や動きから練習するかを選びます。

Vienna Piano Schoolでは、2026年10月から池袋・新宿のピアノスタジオで、中学生以上の方を対象に対面レッスンを行います。通常レッスンは55分・4,800円、初回体験は55分・無料です。体験レッスンのお申し込みに、現在の曲と、左右の合わせ方やテンポなど相談したいことをお書きください。18歳未満の方は保護者の同意のもと、保護者からご連絡ください。

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