ピアノの重音がそろわないとき:3度の響きと指の動きを整える練習

Enea — Vienna Piano School 主宰
Enea

二つの音が同時に鳴ることと、同じ強さで鳴ることは別の課題です。短い3度の練習から、ブルグミュラー《小さな集会》のスラー、スタッカート、左右の受け答えへ進み、指の動きと聴きたい響きを考えます。

ピアノの3度の重音がそろわないときは、まず「二つの音が時間差で鳴る」「同時に鳴るが片方だけ目立つ」「次の重音へ移ると途切れる」を聴き分けます。同じ「弾きにくい」でも、直したい点はそれぞれ違います。指を高く上げて何度も反復する前に、二つの鍵盤への準備と、次の音へ向かう動きを見直しましょう。

ここでは短い3度の練習と、ブルグミュラー《25の練習曲》Op.100 第4番《小さな集会》の譜例を使います。重音の始まりをそろえるところから、上の旋律を歌わせること、スタッカートとスラーの弾き分けまで扱います。

どこが、そろわない?

音の始まり
二つの音が順番に聞こえる。一組だけを、鍵盤に準備したところから鳴らす。
二つの声の音量
同時に鳴るが片方に偏る。上の旋律と下の声をそれぞれ聴く。
次の重音への移動
一組なら弾けるが、続けると崩れる。前の指を離す時点と、次の指の準備を見る。

重音のずれと音量差

ドとミを同時に弾くつもりなのに、「ド、ミ」と短い順番が聞こえる。これは二つの音の始まりの問題です。一方、同時に鳴っていてもミが強く出れば、ドが抜けたように感じることがあります。音量差をなくそうと全体を強く弾くと、音の始まりまで荒くなる場合があります。

まずペダルを外し、弾きやすい音域で一組だけ鳴らします。耳を向けるのは鍵盤が底へ着く感覚より、実際に聞こえた音の始まりです。二つの指を鍵盤の表面に準備し、同じ拍で弾いて離す。毎回片方が遅れるなら、遅れる指だけを勢いよく振り下ろす前に、片方が空中から、もう片方が鍵盤の上から出発していないかを見ます。

私は重音を聴くとき、最初に「両方を同じ強さに」とは言いません。旋律が上にある曲では、上の音がよく聞こえること自体は必要だからです。まず二つの音が一つの響きとして始まるかを聴き、そのあとで、どちらを歌わせたいかを決めます。

短く録音するときも、一組の重音と、三組続けた重音では確認できることが違います。一組は発音、連続したものは移動の影響を聴く材料です。一組ならそろうのに続けるとずれる場合、次の位置へ着く前に弾き始めている可能性があります。

グランドピアノの鍵盤に置かれた両手を横から見たところ

3度の短い練習

ド・ミ、レ・ファ、ミ・ソの三組を使います。二つの音を縦に重ねて一度に弾き、三組を横へ進めます。右手の指使いは下の音から1・3、2・4、3・5を出発点にします。ここでのドは中央のド、指番号1は親指、5は小指です。

一組ずつ、そして三組続けて

各枠の二つの音を同時に弾き、左から右へ進みます。ドは中央のド。

ミ

ド

右手 1・3

ファ

レ

右手 2・4

ソ

ミ

右手 3・5

指番号は下の音・上の音の順。1=親指、5=小指。

休みを入れる
一拍鳴らす → 一拍休む。休みの間に次の組へ。
続けて弾く
各組を四分音符で弾き、ミ・ソからレ・ファ、ド・ミへ戻る。

はじめは各組を一拍鳴らし、一拍休みます。休みの間に次の二つの鍵盤へ移り、両方の指が準備されたところから鳴らしてください。休符は、前の重音を押し続けたまま次の形を探す癖をいったんほどく時間です。各組の直前に手を高く持ち上げる動作は加えません。

ミ・ソの3・5だけがずれるなら、その一組から始めてみます。最初からその場所に置いてもずれるのか、レ・ファの2・4から移ったときだけずれるのか。前者では一組の発音を、後者では移動と指の準備を扱います。同じ三組を繰り返していても、聴く場所が決まると練習の内容が変わります。

次に休符を外して四分音符で続けます。ド・ミからミ・ソへ上がったら、レ・ファ、ド・ミへ戻りましょう。折り返しで急いだり、最後のド・ミだけ強く着地したりしないかを聴きます。指番号の列をこなすことより、五つの響きに同じ拍の長さがあることを優先します。

この白鍵の並びには、長3度のド・ミと、短3度のレ・ファ、ミ・ソが含まれます。どれも「3度」ですが、音の幅は同じ半音数ではありません。黒鍵を含む調へ移したときは、指の開きだけでなく鍵盤の奥行きも変わります。まずこの短い並びで、どこに指を置くと両方の音を落ち着いて始められるかを探してください。

上の旋律と下の声

発音がそろったら、上のミ・ファ・ソ・ファ・ミを一つの旋律として聴きます。最初に上の音だけを実際の指、3・4・5・4・3で弾き、どこへ進んで戻るのかを耳に残します。そのあと下のド・レ・ミ・レ・ドを加え、上の線が聞こえる音量を探します。

上の音を目立たせようとして、下の音が鳴らなくなるほど浅く触れると、響きが不安定になります。下の声も確かに鳴ったうえで、上の旋律が浮かぶバランスを目指します。両方を強く鳴らしてから片方を押さえ込むより、落ち着いた音量で一組ずつ比べてみましょう。

反対に下のド・レ・ミを聴きながら弾くと、いつも上の音に隠れていた遅れや音の抜けに気づくことがあります。これは本番で下を強調するための指定ではなく、二つの声を自分の耳で追う練習です。曲へ戻るときは、楽譜の声部とフレーズに合わせてバランスを選びます。

重音が和音の中へ広がると、旋律の下に複数の音を添える場面も増えます。その場合の聴き分けは、和音に埋もれるメロディーの練習でも取り上げています。ここでは二つの声に絞り、同時に始まることと、同じ音量であることを混同しない耳を育てます。

スラーと指の受け渡し

二つの音を押さえたまま、次の二つへ手を伸ばそうとすると、手全体が止まりがちです。特に3・5から2・4へ戻るところでは、前の小指を残すことに集中しすぎて、次の薬指が遅れることがあります。つなぎたい上の声を聴きながら、前の指を離す時点と次の指が着く時点を短い範囲で調整します。

先ほどのミ・ソからレ・ファだけを取り出します。上のソからファを5・4で弾き、その受け渡しに下のミからレを添えます。上の声が切れているなら、その切れ目を聴く。上は続くのに下が残って濁るなら、下の指の離し方を聴く。一度の反復で全部を監視するより、耳の焦点を変えて比較します。

楽譜のスラーが長く続く場面では、指の組み替えや同じ音の弾き直しも含まれます。すべての指を同時に残して物理的につなごうとすると、次の位置へ移れません。旋律の方向と音量の受け渡しを保ち、必要な場所で指を離すことも重音のレガートの一部です。ペダルを加えるのは、そのあとで和声と響きを確かめながら行います。

指使いは一組だけで決めず、その前後を含めて試します。同じド・ミでも、上行の途中とフレーズの終わりでは、使いたい組み合わせが変わります。フレーズと手の移動から考える指使いでは、この選び方を詳しく説明しています。

《小さな集会》の歌い方

ブルグミュラー《小さな集会》には、短く離す重音と、スラーの中で歌う重音の両方が出てきます。第7小節からは、右手の3度が高い位置から下がります。冒頭の一組をそろえるだけでなく、上のミ・レ・ドという旋律が次へ向かうように弾いてみましょう。

《小さな集会》第7〜8小節

ハ長調、4分の4拍子。右手の3度に、スラーと強弱の変化があります。

譜例は横にスクロールできます。

第7小節、右手は高いド・ミからシ・レ、ラ・ドへ下降。sfからディミヌエンドし、第3拍のラ・ドはpで新しいスラーを始める。左手はドからファ、ラを経て第8小節の高いドへ進む。
譜例を大きく開く

同じラ・ドでも、最初のスラーの終わりと、次のスラーの始まりで響きを変えます。

第7小節の最初はsf、そのあとの二つの8分音符へ向かってディミヌエンドがあり、第3拍の同じラ・ドはpで始まります。ここを全部同じ強さで並べると、音はそろっていても曲の会話が消えてしまいます。最初のド・ミからシ・レ、ラ・ドへ向かう短いまとまりと、pで始まる次のまとまりを聴き分けてください。

同じラ・ドが続くところにも意味があります。前のラ・ドは最初のスラーの終わり、次のラ・ドは新しいスラーの始まりです。音名が同じでも弾き直しがあり、その二回の音量と長さがフレーズを分けます。指を置いたまま押し続けると、新しい発音の準備が遅れます。

まず上の声だけで、四分音符と8分音符の長さ、sfからpへ変わる響きを聴きます。重音に戻したとき、四分音符を長く構えすぎて、後ろの二つの8分音符を急いでいないかにも耳を向けましょう。ゆっくり弾いていても、音価の割合は曲の性格を作っています。

左手は第7小節でドの2分音符からファ、ラへ進み、第8小節の高いドへ続きます。右手の二つの音ばかりを見ると、この上行する左手を毎回強く打ち直しがちです。右手を短いまとまりで歌わせながら、左手のファ・ラ・ドにも行き先を持たせると、重音が伴奏の上に載った音楽として聞こえてきます。

スタッカートと横への移動

第10小節は、3度の重音が8分音符で上がり、スタッカートとクレッシェンドが付いています。ここでは前の響きを指で残す練習から、離して次へ移る練習へ切り替えます。

第10小節:離して、次の位置へ

上段はト音記号、下段はヘ音記号。ハ長調、4分の4拍子。

譜例は横にスクロールできます。

右手の3度がシ・レから一音ずつ上がる8分音符。スタッカートとクレッシェンドがあり、最初に1・3、その後に2・4の指番号が並ぶ。左手はソの全音符。
譜例を大きく開く

音を離す時間に、手が次の二つの鍵盤へ進みます。上行全体でクレッシェンドを聴きます。

掲載譜には最初のシ・レに1・3、そのあとの多くの組に2・4が示されています。同じ二本の指で次々に位置を変えるため、手を一か所に固定して指だけを伸ばす方法では上がれません。一組を離したあと、次の二つの鍵盤へ手全体が進む動きが必要です。

最初は二組ずつ取り出して、前の音を離すところから次の位置へ着くところまでを一つの動きにします。スタッカートを強い跳躍や高い持ち上げに置き換えると、音の始まりがばらつき、次の位置も探し直すことになります。鍵盤から離れる距離は、次の響きを落ち着いて始められる範囲で試しましょう。

クレッシェンドは、最後の重音へ向かう長い方向です。各組を急に強くする階段のようにせず、同じ8分音符の流れの中で響きを育てます。速度を上げたときに上の音だけ飛び出すなら、その一組と前の一組へ戻り、移動のどこで準備が変わったかを確かめます。

掲載された指番号は試す出発点です。手の形や前後の運びに合わないときは、別の指使いを同じ音量、同じ速さで比べます。指番号を変えたことより、二つの音がそろい、フレーズの方向を保って進めたかを判断材料にしてください。

左手の重音と受け答え

右手の3度に慣れたあと、左手へそのまま同じ感覚を移そうとすると戸惑うことがあります。左手では上の声を親指側で弾く場面が増え、音量の偏り方も変わります。《小さな集会》の第15〜16小節は、左右が同じ旋律を受け渡す例です。

第15小節は右手が休み、左手の3度がソ・シから上がります。まず上のシ・ド・レ、レ・ミ・ファを歌わせ、そのあとで下の声を添える練習をしてみます。右手で上の旋律を小指側に感じていた人には、手の中で聴く場所が変わる体験になります。

第16小節では右手が同じ形を受け取り、左手はレ・ファの2分音符を保ってから休みます。受け渡しで右手だけ急に大きくならないか、左手の最後の音を早く切りすぎないかを聴きます。ここでも目標は、二本の指をそろえることから、二つの手で一つの会話を作ることへ広がります。

繰り返す範囲は、第15小節の頭から第16小節の終わりまで。毎回曲の最初から戻るより、左手の歌い方と右手の返事を続けて聴けます。その二小節に流れが生まれたら、前後の小節を加え、曲の中のテンポへ戻していきます。

レッスンで確かめる重音

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