音楽留学の面接で話すドイツ語:志望理由とピアノ演奏の伝え方

Enea — Vienna Piano School 主宰
Enea

音楽留学の面接に向けて、経歴・志望理由・ピアノ演奏の考えをドイツ語で話す練習を紹介します。モーツァルトを題材にした受け答え、聞き返しの表現、MUKなどの自己紹介・面談の形式を解説します。

音楽留学の面接では、これまでの学び、志望理由、演奏で考えていることを、相手の質問に合わせてドイツ語で話す準備をします。まずは最近弾いている1曲を選び、「どの響きに関心があるか」「今どこに取り組んでいるか」を短い言葉にしてみましょう。そこから続く質問に答える練習が、長い自己紹介の暗唱よりも会話に近い準備になります。

私は、演奏について話す練習では、本人が実際に聴いている音を出発点にしたいと思っています。「表現力を高めたい」と話したあとに、どの声部をどう聴かせたいのかを尋ねる。そこで出てくる言葉には、その人の練習や作品への関心が表れます。ウィーンで学んだ経験も生かしながら、ドイツ語の形と音楽上の意味を一緒に確かめます。

  • 志望する課程の面接、動画の自己紹介、使用言語を確認する。
  • 現在の学びと志望理由を、短い文で話す。
  • 準備曲から1か所を選び、演奏の考えと課題を説明する。
  • 聞き返したあと、理解した質問に答えるところまで練習する。
開いた楽譜と、内部のハンマーが見えるアップライトピアノ

面接・自己紹介の形式

募集要項では、Gesprächは「会話・面談」、Selbstvorstellungは「自己紹介」、Kolloquiumは文脈により「口頭試問・面談」を指します。同じ大学でも、演奏専攻と器楽教育の課程では、話す内容や試験の位置づけが変わります。学位、専攻、受験年度を合わせて読み、動画で話すのか、演奏後に質問を受けるのかを確かめてください。

たとえば、MUKの2027/28年度ピアノ学士・修士の案内には、応募動画でドイツ語または英語による最長2分の自己紹介と、現地審査の演奏後の面談が記載されています。学士IGP(器楽・声楽教育)には、教育上の適性や学修目標などを扱うKolloquiumもあります。演奏専攻の面談に、IGPの準備内容をそのまま当てはめないようにします。

ザルツブルク・モーツァルテウムのピアノ・ソロ修士課程にも、動画の冒頭でドイツ語または英語による最長2分の自己紹介を行い、志望動機などを話す案内があります。これは応募動画の指定です。対面の受け答えを練習する場合は、質問を聞いて答えを選ぶ時間も含めます。

これらは2026年10月時点の公式案内に基づく例です。出願時には、その年度の課程ページと試験への招待状を読み直します。語学証明の種類や提出時期は、音楽留学に必要なドイツ語のガイドで扱っています。このページでは、口頭で音楽の話をする練習に焦点を当てます。

経歴を短く話す

自己紹介の軸は、現在の学びと、次に進みたい課程です。名前を名乗ったあと、大学でピアノを専攻しているのか、高校で学びながら個人レッスンを受けているのかを話します。子どもの頃からの全経歴を並べると、いま取り組んでいる音楽が後ろに隠れてしまいます。

「Ich studiere Klavier in Japan.」は「日本でピアノを専攻しています」。「Ich besuche die Oberstufe einer japanischen Schule und nehme Klavierunterricht.」なら「日本の高校段階で学び、ピアノのレッスンを受けています」という説明です。大学での専攻にはstudieren、学校に通うことにはdie Schule besuchenという形を使い、自分の在籍状況に合う文を選びます。

卒業済みなら「Ich habe mein Bachelorstudium in Japan abgeschlossen.」(日本で学士課程を修了しました)、卒業予定なら「Ich werde mein Bachelorstudium voraussichtlich im März abschließen.」(3月に学士課程を修了する見込みです)と、完了と予定を分けます。月や学位名は自分の事実に合わせます。卒業予定を、すでに取得した資格のように話さないことが大切です。

師事歴や室内楽の経験を加えるときは、その経験から現在の関心へ進めます。たとえば「室内楽で相手の呼吸を聴くようになった」「古典派のソナタに継続して取り組んでいる」といった内容です。書類と口頭説明で、学校名、在籍期間、学位の呼び方をそろえておきましょう。日本の経歴をドイツ語で表す例は、教授へのメールの書き方も参考になります。

Vienna Piano School
グランドピアノを弾く生徒に、楽譜を示しながら指導する講師。

クラシックピアノ個人レッスン

55分・無料の体験レッスン。

池袋・新宿のピアノスタジオでの対面レッスン。

ウィーン育ちのコンサートピアニスト、Enea。

Enea

ウィーン育ちのコンサートピアニスト

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志望理由と学びたいこと

「Warum möchten Sie hier studieren?」(なぜここで学びたいのですか)には、大学をほめる文章より、学びたい内容から答えたいところです。「Ich möchte mich intensiver mit Kammermusik beschäftigen.」(室内楽にもっと深く取り組みたいです)と話したら、これまでの経験や、今後演奏してみたい編成へ話を進められます。

大学や教授を選ぶ理由には、本人が確認した内容を使います。公開演奏で聴いた音色、受けた体験レッスンで気づいたこと、課程に含まれる授業などです。たとえば、実際に体験レッスンで伴奏の重さについて学んだなら、その前後でフレーズの聴こえ方がどう変わったかを説明できます。まだ受けていないレッスンの感想や、知らない教授の指導方針を文章に足すと、続く質問に答えられなくなります。

「将来、演奏と教育の両方に関わりたい」は「Ich möchte später sowohl konzertieren als auch unterrichten.」と表せます。ただし、演奏を中心に深める課程と、教育実践を含む課程では、志望理由の重点も変わります。教育の課程を志望するなら、学習者の音をどう聴き、どんな言葉で説明することに関心があるのかまで考えてみましょう。

「Warum gerade diese Hochschule?」(なぜ特にこの大学なのですか)と聞かれたとき、最初から別の長文を始める必要はありません。先ほど挙げた学修目標と、その課程で確認した内容との関係を話します。「有名だから」「音楽の本場だから」で止めず、受講したい分野や深めたい作品に戻るのが私の勧めです。

演奏の考えをドイツ語で説明する

ここでは、モーツァルトのピアノ・ソナタ ヘ長調 K.332の第2楽章について話す場面を考えます。作品名を言い、その音楽のどこに関心があるかを述べ、練習で扱っている問題に進みます。準備曲が別の作品なら、作曲家と題名だけでなく、音楽上の中身も置き換えます。

「Ich beschäftige mich gerade mit dem zweiten Satz aus Mozarts Sonate KV 332.」は「いまモーツァルトのソナタK.332の第2楽章に取り組んでいます」。ドイツ語ではケッヘル番号をKVと書く形も使われます。番号、調、楽章を声に出して練習しておくと、曲名のところで説明が途切れません。

作品の話を、音と練習へ進める

Woran arbeiten Sie gerade?
今、どんなことに取り組んでいますか。

1. 関心

Mich interessiert besonders, wie die Melodie über der Begleitung singt.

伴奏の上でメロディーをどう歌わせるかに、特に関心があります。

2. 課題

Ich arbeite daran, die Begleitung leiser zu spielen und die Melodie klar zu führen.

伴奏をより小さな音で弾き、メロディーを明確に運ぶことに取り組んでいます。

3. 試していること

Ich spiele die Begleitung allein und singe die Melodie dazu.

伴奏だけを弾きながら、メロディーを歌っています。

続く質問と答えを読む

Was verändert sich, wenn Sie dazu singen?

一緒に歌うと、何が変わりますか。

Ich höre deutlicher, wohin die Phrase geht. Beim Zusammenspielen möchte ich diese Richtung beibehalten.

フレーズがどこへ向かうかを、よりはっきり聴けます。両手で弾くときも、その方向を保ちたいと思っています。

このように、関心、課題、試していることが一つの作品の中にあると、相手もその箇所を尋ねられます。「きれいに弾きたい」を少し掘り下げるだけで、メロディーの息、伴奏の重さ、フレーズの終わり方など、話せる内容が見つかります。

私はここで、説明した音が演奏にも現れているかを聴きます。伴奏を軽くしたいと話したあとに弾いてみて、まだメロディーを覆っているなら、その差自体が次の練習の題材です。「Ich höre die Melodie noch nicht deutlich genug.」(まだメロディーが十分にはっきり聴こえません)と、自分の耳で確かめたことを言葉にできます。

意見を尋ねられたときは、解釈と作品の事実を区別して話します。「Für mich wirkt diese Stelle unruhig.」(私には、この箇所は落ち着かない感じに聴こえます)は、自分の聴き方を示す文です。作曲家の意図や成立事情を問われているなら、知っている資料に基づいて答えます。調べていない歴史を、その場で補うのは避けましょう。

作品の説明には、Stimme(声部)、Begleitung(伴奏)、Phrasierung(フレーズの形づくり)などの語が役立ちます。ピアノのドイツ語用語集で確認した語を、自分の曲についての一文にしてみてください。単語を知っている状態から、音を説明する言葉へ進めます。

質問を聞き返す・言い換える

聞き返す練習では、何が分からなかったのかを分けます。音として聞き取れなかったなら繰り返しを頼み、単語の意味ならその語を尋ね、質問の範囲が曖昧なら二つの候補を示します。「もう一度お願いします」を何度も重ねるより、確認する箇所を絞れます。

聞き返したい内容に合わせた6つの表現

もう一度聞く

Könnten Sie die Frage bitte wiederholen?

質問をもう一度言っていただけますか。

速さを調整してもらう

Könnten Sie bitte etwas langsamer sprechen?

少しゆっくり話していただけますか。

単語の意味を確認する

Was meinen Sie hier mit „Interpretation“?

ここでの「解釈」は、どのような意味でしょうか。

質問の範囲を確認する

Meinen Sie meine bisherige Ausbildung oder meine Pläne für das Studium?

これまでの教育歴についてですか、それとも入学後の計画についてですか。

短く考える時間を取る

Einen Moment bitte, ich überlege kurz.

少しお待ちください。考えます。

言い直す

Ich formuliere es anders: Die Begleitung soll leiser sein.

別の言い方をします。伴奏をもっと小さくしたいのです。

たとえば「Was möchten Sie an Ihrer Interpretation verändern?」(自分の解釈のどこを変えたいですか)を聞いて、変えたい点を問われていることまで分かったとします。Interpretationという語で止まってしまったら、質問全体を最初から繰り返してもらう前に、その語の意味を確認する方法があります。聞き取れた部分は残し、分からない箇所を埋める練習です。

また、「Woran arbeiten Sie gerade?」は今取り組んでいることを、「Worauf achten Sie beim Spielen?」は弾くときに注意していることを尋ねています。どちらにも同じ自己紹介を返すのではなく、前者なら作品や課題、後者なら聴いている声部や音の関係へ答えを向けます。質問の最初の一語だけで決めず、最後まで聴くことも練習に含めます。

面接の練習では、まずSieを使った丁寧な形を用意します。相手からduで話しかけられても、こちらがすぐに呼び方を切り替えるとは限りません。「Was spielst du gerade?」と「Was spielen Sie gerade?」の両方を聞いて意味が取れるようにし、呼びかけ方はその場の関係に合わせます。

自分から聞く質問

質問する機会があれば、学び方について知りたいことを尋ねます。「Welche Möglichkeiten gibt es, im Studium Kammermusik zu spielen?」(在学中に室内楽を演奏する機会には、どのようなものがありますか)や、「Wie werden die Vorspielabende organisiert?」(試演会はどのように運営されていますか)などです。まず公開情報を読み、そこから残った疑問を持っていきます。

演奏への助言を受けた場合は、「Woran sollte ich als Nächstes arbeiten?」(次にどの点に取り組むとよいでしょうか)と尋ねることもできます。ただし、質問の時間が設けられている場面で、相手の進行に沿って話します。試験と、じっくり演奏を試す教授の体験レッスンでは、使える時間も目的も違います。

質問のあとの一言も練習しましょう。室内楽の機会について説明を受けたなら、「Das interessiert mich besonders, weil ich bisher vor allem solistisch gespielt habe.」(これまでは主にソロを演奏してきたので、特に関心があります)と、自分の経験から返せます。実際に室内楽の経験が多い人なら、どんな編成で弾いてきたかに話を進めます。

声に出して練習する

最初の練習では、経歴、志望理由、準備曲をそれぞれ短く話して録音します。再生するときは、文法の誤りを全部探す前に、問いへの答えがどこから始まるかを聴きます。長い前置きのあとに答えが来るなら、その一文を先に置きます。作品名や数字で止まるなら、その部分を声に出して繰り返します。

次は、相手に質問の順番を変えてもらいます。「なぜその曲か」「どこが難しいか」「どう練習しているか」のうち、どれが来るか分からない状態で答えます。一つ答えたら、「どの箇所ですか」「ほかに方法を試しましたか」と追ってもらいましょう。原稿の次の行を思い出す練習から、話題を保って答える練習に変わります。

発音では、相手に渡したい語をはっきり言うことから始めます。作品名、作曲家名、楽章、MelodieやBegleitungなどの中心語が聞こえるかを確かめ、意味のまとまりで息を区切ります。長い文で語尾が消えるなら、二文に分けます。日本語の読み仮名だけに頼らず、ドイツ語を話す相手に通じたかを確かめる時間も取りましょう。

最後に、話した箇所をピアノで弾いてみます。フレーズの頂点を説明したなら、そこへ向かう音の動きを聴く。声部のバランスを話したなら、同じ箇所を二通りの配分で試す。言葉を整える作業が、作品をどう聴き、どう練習するかという問いにもなります。

池袋・新宿での留学準備

Vienna Piano Schoolでは、演奏の準備に加え、音楽を学ぶためのドイツ語や、作品について話す練習を相談できます。私はウィーンのMUKなどでの学びを生かし、本人のレパートリーと志望する課程に合わせて、音とことばの両方を扱います。相談の際には、志望課程の案内と、現在練習している曲をお知らせください。

対象は中学生から大人、対面レッスンの場所は池袋・新宿のピアノスタジオです。現在は開講準備中で、お申し込みを受け付けています。通常の対面レッスンは1回55分・4,800円、別途室料800円(合計5,600円)。初回体験は55分・無料です。体験レッスンのお申し込み後、開始時期と体験の日程をメールでご案内します。18歳未満の方は保護者からご連絡ください。

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