海外のピアノ教授へのメール:日本の経歴を伝えるドイツ語の書き方

Enea — Vienna Piano School 主宰
Enea

ドイツ・オーストリアのピアノ教授にレッスンをお願いしたい方へ。日本の学歴や演奏歴の説明、和訳付きのドイツ語メール例、録画の選び方、日程と謝礼、先生や保護者との連絡の進め方を紹介します。

海外のピアノ教授に初めてメールを送るときは、「今どこで、何を学んでいて、どんなレッスンを希望しているか」を短く伝えます。日本の音大名や学年を書くだけでなく、専攻、卒業予定、進学したい課程まで添えると、相手は演奏動画を聴く前から、あなたの現在地を思い描けます。

ドイツやオーストリアの音大を考えている方なら、最初に手元に置きたい情報は次の四つです。

  • 現在の勉強: 学校・課程・ピアノの専攻、または個人レッスンでの学習状況。
  • 希望する進路: 大学の正式な課程名、学士か修士か、入学を考えている年。
  • 聴いてほしい演奏: 曲名と楽章が分かる録画リンク、当日持参したい曲。
  • 今回のお願い: レッスン、短い演奏の機会、聴講のどれを希望するかと候補日。

私はウィーンで育ち、ドイツ語でピアノを学んできました。こうした連絡を手伝うときに大切にしているのは、立派な文章に見せることより、その人がピアノの前で話したいことを残すことです。「先生の演奏に感動しました」の先に、どの作品の、どんな音楽に惹かれたのか。その一言が、初めてのレッスンの話題にもなります。

楽譜を広げた机でノートパソコンを操作する手元

送り先とレッスンの依頼

連絡先は、大学の現在の教員紹介と専攻ページから探します。同じピアノでも、ソロ、歌曲伴奏、器楽教育では担当する課程が異なることがあります。演奏会のプロフィールに経歴が載っていても、今その大学でどの学生を教えているかは、大学側の情報で確かめます。

たとえばウィーン国立音楽大学(mdw)のピアノ専攻の入学案内には、研究所の事務室とStudienCenterの連絡先が掲載されています。ミュンヘン音楽・演劇大学(HMTM)は、主専攻の教員一覧と、ピアノ学士課程の試験事務担当を案内しています。教授には演奏や学びたい内容を、事務室には出願資格や書類の扱いを尋ねる、という役割の分け方ができます。

見学やレッスンの問い合わせ方法が指定されていれば、その案内に従います。教員紹介に業務用のメールアドレスがあり、別の窓口が指定されていない場合は、本人宛てに一通ずつ書きます。公開されている連絡先だけでは、個別レッスンの実施や受け入れ枠までは分かりません。まずは希望する機会を尋ねましょう。

Probestundeは、お互いの教え方・学び方を知るためのレッスンをお願いするときの表現です。「Wäre eine Probestunde bei Ihnen möglich?」で「先生のレッスンを一度受けることは可能でしょうか」と尋ねられます。まず演奏を聴いてもらいたいなら「Dürfte ich Ihnen vorspielen?」、レッスンを見学したいなら「Wäre eine Hospitation in Ihrem Unterricht möglich?」と依頼の内容を変えます。Probestundeという語自体に、無料という意味はありません。

日本の学歴・在籍状況

日本の「音大四年生」「高校生」「大学卒業後も先生に習っている」という説明は、そのまま相手が理解できる形に整えます。学校名は公式の外国語表記を使い、専攻と学年を補います。学部の学位がBachelor、大学院の学位がMasterに対応するかは、自分の課程と証明書の表記を確かめて書きます。

現在の勉強を伝える三つの表現
音大学部でピアノを専攻

Ich studiere Klavier im Bachelorstudiengang an [大学の正式名] in Japan.

日本の[大学名]の学士課程でピアノを学んでいます。

学年、卒業予定の月と年を続けて書きます。

高校に通いながら個人レッスン

Ich besuche eine japanische Oberschule und nehme privaten Klavierunterricht.

日本の高校に通い、ピアノの個人レッスンを受けています。

卒業予定と、現在取り組んでいる曲を添えます。

卒業後もピアノの勉強を継続

Nach meinem Studienabschluss setze ich meine Klavierausbildung im Privatunterricht fort.

大学卒業後も、個人レッスンでピアノの勉強を続けています。

卒業した大学・課程・専攻は、別の一文で説明します。

音大の学部最終学年であれば、現在の在籍と卒業予定を二文に分けると明快です。「Ich studiere im vierten Jahr Klavier an [大学名].」に続けて、「Meinen Bachelorabschluss werde ich voraussichtlich im März [年] erwerben.」と書けば、四年次でピアノを学び、何年三月に学士号を取得する見込みかが伝わります。日本の卒業時期と、志望校の入学期の関係も読み取れます。

高校生の場合は「japanische Oberschule」と書き、卒業予定とピアノの学習を添えます。まだ取得していない資格をAbiturなど相手国の資格名に置き換えると、経歴の説明が変わってしまいます。まず自分が日本で受けている教育を書き、出願資格の認定は大学の担当窓口に確認します。

大学を卒業してから個人レッスンを続けている人は、卒業した課程と現在の勉強を分けて伝えます。音楽以外の学部を出ているなら、その分野も明記します。たとえば「Ich habe ein Bachelorstudium in [分野] abgeschlossen und nehme weiterhin privaten Klavierunterricht.」は、学士課程を修了し、現在も個人のピアノレッスンを受けている、という説明です。これだけで修士課程への出願資格が決まるわけではないので、希望課程の条件を別途調べます。

演奏歴を書くときは、現在の曲に関係する経験を選びます。卒業演奏会でソナタ全曲を弾いた、室内楽で定期的に共演している、歌曲の伴奏に取り組んでいる、といった内容です。日本のコンクール名を並べる場合も、正式名称、部門、受賞した年がないと、相手は結果の位置づけを判断できません。最初の本文は現在の勉強を中心にし、詳しい音楽歴は短い別紙にまとめる方法もあります。

Vienna Piano School
グランドピアノを弾く生徒に、楽譜を示しながら指導する講師。

クラシックピアノ個人レッスン

弾きたい音楽を中心に、一人ひとりに合わせたレッスン。

初心者から上級者まで。オンラインで国内外から受講できます。

ウィーン育ちのコンサートピアニスト、Enea。

Enea

ウィーン育ちのコンサートピアニスト

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教授に送るドイツ語メール

次の例は、日本の音大学部を修了する予定の人が、修士課程への進学を考えてレッスンをお願いする文面です。角括弧の部分を自分の情報に替え、先生を選んだ理由は、実際に聴いた演奏や公開レッスンに即して書き直します。

レッスン依頼のメール例

学士修了予定の方から、修士課程の教授へ。日付は月名を含めて記入します。

件名

Anfrage zu einer Probestunde: Masterstudium Klavier, [氏名]

Sehr geehrte Frau Professorin [姓],

mein Name ist [氏名]. Ich studiere im vierten Jahr Klavier an [大学の正式名] in Japan. Meinen Bachelorabschluss werde ich voraussichtlich im März [年] erwerben.

Ich interessiere mich für den Masterstudiengang [課程の正式名] an Ihrer Hochschule und möchte mich für das Wintersemester [年/年] bewerben.

In Ihrer Aufnahme von [作品名] hat mich besonders die Gestaltung der inneren Stimmen angesprochen. An dieser Frage arbeite ich gerade selbst und würde dazu gern mit Ihnen arbeiten.

Ich werde vom [到着日] bis zum [出発日] in [都市名] sein. Wäre in diesem Zeitraum eine Probestunde bei Ihnen möglich? Ich würde gern [当日弾きたい作品・楽章] mitbringen.

Hier finden Sie zwei aktuelle Aufnahmen:

[作曲者・作品名・楽章・録画年月] : [録画リンク1]

[作曲者・作品名・楽章・録画年月] : [録画リンク2]

Vielen Dank für Ihre Zeit. Über eine Rückmeldung würde ich mich freuen.

Mit freundlichen Grüßen

[氏名・所属・現在地・連絡先]

日本語訳を読む

[姓]教授へ。私は[氏名]と申します。日本の[大学名]でピアノを学ぶ四年生で、[年]三月に学士号を取得する見込みです。

貴学の[課程名]の修士課程に関心があり、[年/年]冬学期に向けて出願したいと考えています。

先生による[作品名]の録音で、特に内声の扱いに惹かれました。私自身も今その課題に取り組んでおり、先生と一緒に勉強してみたいと思っています。

[到着日]から[出発日]まで[都市名]に滞在します。この期間にレッスンを一度受けることは可能でしょうか。[作品・楽章]を持参したいと考えています。

最近の録画二本を以下にお送りします。お時間をいただきありがとうございます。お返事をいただけましたら幸いです。敬具、[氏名]。

件名の「Anfrage」は問い合わせ、「Probestunde」は希望する機会、「Masterstudium Klavier」は考えている進路です。本文では大学が公表する課程名を使います。Bachelorの相談なのか、Masterの相談なのかが揃っていると、録画もその段階に合わせて聴いてもらえます。

宛名は、教授の肩書がある女性なら「Sehr geehrte Frau Professorin [姓],」、男性なら「Sehr geehrter Herr Professor [姓],」が使えます。教授職でない教員には「Sehr geehrte Frau [姓],」「Sehr geehrter Herr [姓],」と書きます。相手が公表している呼び方を確認し、最初は敬称のSieで始めます。やり取りの中でduを使おうと言われたら、その案内に合わせます。

名前は普段使うローマ字表記を統一し、署名でも同じ順序にします。日本語の姓・名を相手が判別しにくい場合は、署名で姓を大文字にする方法もあります。所属大学の名前、現在地、返信を受け取れる連絡先を添えれば、本文の自己紹介を長く繰り返す必要はありません。

文章を誰かに整えてもらった場合も、一文ずつ意味を確かめておきます。メールで「内声の扱いを学びたい」と書いたなら、レッスンではその箇所を弾き、何に迷っているかを話せるようにする。文面と音楽の関心が揃っていることの方が、難しい単語の数より大切です。

演奏動画と音楽上の関心

先生から曲の指定がない段階では、今の演奏をよく表す一、二曲、または楽章のリンクを選びます。作曲者、作品名、楽章、録画年月を付け、ログインしていないブラウザでも開けることを確認します。長い演奏会動画を使うなら、聴いてほしい演奏の開始時刻も示します。

選曲では、曲の難しさだけでなく、聴こえる音楽の違いを考えます。速いエチュードと速い終楽章を送ると、指の動きはよく伝わる一方、長い旋律を支える聴き方は分かりにくいかもしれません。バッハで声部の入り方を示し、別の作品で歌う旋律と伴奏の距離を聴いてもらう、といった組み合わせにも意味があります。

楽章全体の録画からは、冒頭で作ったテンポをどう保つか、再現部にどんな重みを与えるか、終わりへどう進むかが聞こえます。難所だけを並べた映像では見えにくい部分です。短い抜粋を送るなら、どの範囲を弾いているかを明記します。正式な受験動画には大学ごとの課題曲・撮影・提出条件があるため、出願時はその指示に従います。撮影の準備はピアノの動画審査ガイドでも扱っています。

私が最初の演奏を聴くときには、旋律の方向が伴奏の動きに埋もれていないかにも耳を向けます。左手の跳躍のたびに右手のフレーズが途切れるなら、単純に右手を強くするだけでは解決しません。どの音へ向かっているかを歌い、左手の移動に必要な動きと、聴き続けたい線を分けて考えます。こうした課題なら、初回のレッスンでも実際に試せます。

教授を選んだ理由にも、音楽の中身を書きます。「シューベルトの演奏で、旋律の下にある声部の動きに惹かれた」「公開レッスンで、フレーズの頂点へ向かうテンポの扱いが印象に残った」など、自分が聴いたことを一つ挙げます。先生の演奏評を書くつもりで説明を重ねず、そこから何を学びたいかまでを一、二文に収めます。

グランドピアノの鍵盤に触れる両手の接写

日程・謝礼・使用言語

訪問できる時期は、年と都市を含めて書きます。「いつでも伺えます」より、「一月の何日から何日までウィーンに滞在します」の方が、相手は予定を照合できます。まだ旅程を決めていない場合は「Ich plane einen Aufenthalt in Wien im Januar [年]; die genauen Reisedaten stehen noch nicht fest.」と書き、候補を相談します。

レッスンの日時が提示されたら、受講時間と謝礼を尋ねます。「Könnten Sie mir bitte die Dauer und das Honorar für die Stunde mitteilen?」は「レッスンの長さと謝礼を教えていただけますか」という意味です。対面なら会場と部屋、オンラインなら使用する通話方法と相手の都市の現地時刻を確認します。旅行は面会が決まってから、その予定を踏まえて組みます。

ドイツ語での受講がまだ難しく、英語を希望するなら「Wäre es möglich, die Stunde auf Englisch zu führen?」と尋ねます。メールをドイツ語で書いたことと、当日の希望言語を隠さず伝えることは両立します。英語でのレッスンを受けられるかどうかは、その先生との相談事項です。課程全体の語学要件は、大学の募集条件で確認します。

ドイツ語で受ける予定なら、始める場所、弾き直し、音の違いを尋ねる短い表現を用意します。「Ab welchem Takt?」は「何小節目からですか」、「Könnten Sie mir den Unterschied zeigen?」は「違いを示していただけますか」です。ピアノレッスンで使うドイツ語の用語集には、こうしたやり取りと楽譜の言葉をまとめています。

返信と追加の連絡

返事が届いたら、まず相手が何を提案しているかを読みます。「演奏を聴きます」「レッスンができます」「今はクラスに空きがありません」は、それぞれ違う内容です。レッスンへの招待は正式な入学許可ではありません。mdwやHMTMの出願は大学のオンライン手続きを通じて行うため、教授に録画を送った後も、出願の登録と期限は自分で進めます。

返信がない場合、私は二週間ほどを一つの目安に、元のメールに短く追記する形を勧めます。大学が定めた返答期限ではなく、休暇や不在の案内があればそれも考慮した連絡上の目安です。「Ich möchte kurz auf meine Nachricht vom [日付] zurückkommen. Wäre eine Probestunde im genannten Zeitraum grundsätzlich möglich?」で、以前の問い合わせに触れ、提示した期間でレッスンが可能かを尋ねられます。

追記後も返事がなければ、他の候補の検討と演奏の準備を進めます。大学に志願者向けの窓口があれば、連絡方法を尋ねることもできます。複数の私的な連絡手段から同じ依頼を繰り返すより、大学が案内する経路を使います。断りの返事にはお礼を伝え、その理由が日程なのか、クラスの定員なのか、依頼内容なのかを区別して受け止めます。

先生・保護者と進める連絡

日本の先生に相談するときは、志望先の名前だけでなく、最近の録画と、レッスンで扱いたい曲を持っていくと話の中心が定まります。どの先生に何を学びたいのか、今の演奏から何を聴いてもらいたいのかを一緒に考えます。紹介をお願いする場合も、誰に、どんな内容で連絡してほしいかを本人の言葉で説明します。

私がドイツ語の文面や教授との連絡を支援する際には、まず本人の演奏と希望を聞きます。その上で、現在の勉強、志望課程、曲への関心を相手に伝わる形に整えます。先生が紹介の一通を送り、その後の日程を本人がやり取りする方法もあれば、必要に応じて連絡を手伝い続ける場合もあります。差出人と、誰のための依頼なのかは明示します。

送信前には、本人が大学名、課程、卒業予定、訪問できる日を読み返します。紹介者が文章を作っても、相手から返ってくる質問は本人の勉強に関するものです。「何を弾きたいか」「いつ来られるか」に自分でも答えられるよう、文面を自分の準備の一部として持っておきます。

未成年の方で、保護者が旅程や支払いを担当する場合は、保護者も日程と条件を把握します。最初から家族の事情を長く説明するより、受講する本人の紹介を中心にして、必要な場面で保護者の役割を添えます。日本の先生からの紹介があるときも、その先生との関係を正確に書き、まだ行われていない推薦や約束を文面に加えません。

レッスンで試したいこと

メールの最後に残るのは、実際に会って何を弾くかです。通して弾ける曲の中から、まだ解釈を深めたい作品を選びます。「この第二主題で歌おうとすると、全体の流れが止まる」「和音の内声を出すと、旋律の方向が見えなくなる」といった問いなら、先生も演奏を聴きながら応じられます。

レッスンでは、提案を一度試し、その結果を耳で確かめます。伴奏を軽くしたら旋律の終わりが聞こえたのか、指使いを変えたら内声が動いたのか。同じ箇所を二つの弾き方で比べると、自分が何を選んでいるかも見えてきます。私は、初めて会う先生との時間にも、この「試して聴く」姿勢を持っていってほしいと思います。

お礼のメールには、その時間に学んだことを一つ添えます。「助言ありがとうございました」の後に、どのフレーズをどう練習しているかを書けば、会話は音楽の内容で終わります。そして自分の練習ノートには、響きの変化と、次に試したいことを残します。その経験は、進学先を決めるときにも、自分がどんな教え方から学べるかを考える材料になります。

Vienna Piano Schoolでは、中学生以上の方を対象に、演奏・受験準備と、音楽に即したドイツ語・英語、教授との連絡を支援しています。Eneaの経歴と指導方針もご覧ください。オンラインは現在受講でき、2026年10月からは池袋・新宿のピアノスタジオで対面レッスンを行います。30分の無料体験レッスンでは、志望課程、最近弾いている曲、最初のメールで伝えたいことから相談を始められます。

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