ピアノの3対2リズム:六分割の数え方とアラベスクでの練習
ピアノの3対2は、同じ長さの時間に「均等な3音」と「均等な2音」を重ねるリズムです。合わせる位置を確かめるには、その時間を六つに等分します。3音の側は「1・3・5」、2音の側は「1・4」。位置がつかめたら、細かい数を口に出す練習から、それぞれの音の流れを聴く練習へ移ります。
私はこのリズムを聴くとき、両手がそろう瞬間だけでなく、その間を片手ずつどう進んでいるかにも耳を向けます。拍の頭では合っていても、途中で三連符が詰まったり、二つの音が片寄ったりすることがあるからです。ドビュッシー《アラベスク第1番》の楽譜を見ながら、数える段階から旋律と伴奏を弾く段階まで考えてみましょう。
- 同じ時間の幅を決め、3音と2音をそれぞれ均等に置く。
- 六分割の「1・3・5」と「1・4」で、音を出す位置を確認する。
- 鍵盤では音高と指使いを整えてから、前後の拍を加える。
- 数を減らしたあとも、旋律と伴奏がそれぞれ流れているか聴く。
3対2と六分割
ここでは、四分音符1拍の中で、右手が八分音符の三連符、左手が通常の八分音符2音を弾く場合を扱います。右手も左手も、次の拍に着くまでの時間は同じです。その1拍を六つに分けると、右手は二つの区切りごと、左手は三つの区切りごとに音を出せます。
下の数字は、小節の拍番号ではなく、1拍の中の六つの位置です。「1・2・3・4・5・6」を等間隔で数え、続けるときは次の「1」へ進みます。両手が再びそろうのは、その次の「1」です。「6」で次の拍を弾くと、1拍を短くしてしまいます。
1拍の中に、三つと二つ
横の六つの区切りは、すべて同じ長さです。●の位置で音を出します。
| 位置 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 右手3音 | 打鍵 | 新しい打鍵なし | 打鍵 | 新しい打鍵なし | 打鍵 | 新しい打鍵なし |
| 左手2音 | 打鍵 | 新しい打鍵なし | 新しい打鍵なし | 打鍵 | 新しい打鍵なし | 新しい打鍵なし |
6まで進んだら、次の拍の1で再び両手がそろいます。「·」は休符ではなく、新しい音を弾かない位置です。
両手を合わせた音の間隔
順番は「両手 → 右 → 左 → 右 → 次の両手」。音から音までの間隔は、六つの区切りを単位にすると「2 → 1 → 1 → 2」です。
右手だけを聴くと2区切りずつ、左手だけを聴くと3区切りずつ進みます。
右手の2音目は「3」、左手の2音目は「4」、右手の3音目は「5」にあります。つまり、左手の2音目は、右手の2音目と3音目のちょうど中間です。左手を右手のどちらかに重ねようとすると、この関係が崩れます。
「3対2」という比は、二つのリズムの関係を表しています。3/2拍子を指定する数字ではありません。また、作品によっては三つに分かれる側が左手です。楽譜で担当を確かめ、図の二つの行をそれぞれの手に当てはめてください。
片手の均等さと両手の順番
最初は鍵盤を使わず、左右の手で膝や机を軽くたたくと、音高や指使いから離れてリズムを聴けます。六つを数えながら、右手だけで「1・3・5」を繰り返し、次に左手だけで「1・4」を繰り返します。とくに最後の音から次の「1」までの間を聴いてください。そこまで含めて、右手は三等分、左手は二等分です。
両手を合わせたときに聞こえる順番は「両手・右・左・右」です。ただし、この四つを等間隔にたたくわけではありません。六分割でたどると、音と音の間隔は「2・1・1・2」の比になります。中央の「右・左・右」が近く、その前後には少し長い間隔があります。
この順番だけを覚えて、真ん中の三つを慌てて詰め込むと、三連符の均等さが失われます。合わせたリズムを一度聴いたら、右手だけの三つ、左手だけの二つへ耳を戻します。両手の順番と片手の均等さを行き来することが、位置の確認になります。
言葉を当てて覚える方法もありますが、話し言葉には音節の長短やアクセントがあります。覚えた言葉を速く言えたことよりも、片手を取り出したときに同じ間隔で続くかを確かめましょう。私は、生徒が両手では何となく弾けているときにも、二つの音の側を歌ってもらうことがあります。そちらが跳ねて聞こえると、合わせ方を見直す場所が見えてきます。
両手を使うこと自体に慣れていない場合は、両手で弾けないときの練習順序も参考になります。3対2では、その先にある「異なる分け方を同時に保つ」課題に取り組みます。


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鍵盤での音と動き
鍵盤に戻すときは、まず右手も左手も一つの音だけを使い、先ほどのリズムを弾きます。両手が離れた音域にあると、それぞれの音を聴き分けられます。打鍵の位置を大きな音で強調すると、同時に弾く「1」ばかりが強くなりやすいため、控えめな音量で始めます。
一つの音で続けられたら、実際の曲の1拍を取り出します。右手の3音と左手の2音を、先に片手ずつ弾いてみてください。どの指を使うか、どこへ手が移るかが曖昧なままだと、次の鍵盤を探す時間がリズムに混ざります。とくに黒鍵を含む形では、音を出す瞬間より前に、次の位置を見ておきます。
両手で弾く範囲は、取り出した1拍の最後で切らず、次の拍の頭まで含めます。そうすると、三連符の3音目のあとに必要な時間を残せているか、両手が同じ次の拍へ着いているかを聴けます。そこで一度止め、今度は前の拍も付けて入り方を試します。
一音だけなら合うのに、曲の音に戻すと崩れる場合、音の移動が関係していることがあります。たとえば右手を一音に戻して左手だけ実際の音にすると、左手の移動に伴う遅れを聴き取れます。左右を交代して試すこともできます。片手の音を一時的に減らし、どの動きで時間を使っているかを確かめます。
細かな打鍵の位置を聴く段階では、まずペダルを外します。音が短く聞こえても、そこで無理に響きをつなごうとせず、各声部の進む速さを捉えます。ペダルはあとで戻し、和声の変化と音の残り方を聴きながら整えます。
ドビュッシー《アラベスク第1番》
次の楽譜は《アラベスク第1番》の第4〜6小節です。右端の第6小節に注目してください。左手は八分音符を弾き始めますが、右手の最初には四分休符があり、三連符は第2拍から入ります。この休符を待つことも、3対2を弾く準備の一部です。この版では第2拍の右手に「3」が印刷され、続く第3・第4拍も右手は同じ三連符で進みます。
第6小節の第2拍では、右手が「ミ・ファ♯・ド♯」、左手が「ミ・ソ♯」を弾きます。右手のミと左手のミが同時に始まり、そのあと右手のファ♯、左手のソ♯、右手のド♯と進みます。先ほどの「両手・右・左・右」を、ここではこの五つの音に当てはめられます。
この1拍を取り出す練習では、次の第3拍の頭まで弾いてみましょう。その位置では、右手のミと左手のシがそろいます。第2拍のド♯を急いで終わらせず、左手のソ♯にも自分の長さを保たせたまま、次の両手の音へ進みます。次の着地点を含めると、五つの音を並べるだけでは聞こえなかった偏りが分かります。
次に第6小節の頭から弾きます。右手が休んでいる第1拍にも、左手の二つの音で拍は進んでいます。右手の登場を合図にテンポを始め直すと、この入り口で音楽が一度止まります。左手の流れの中へ右手が入る感覚を、休符の間から用意します。
前の第5小節には「rit.」、第6小節には「a tempo」があります。第6小節だけを等しい拍で練習したあと、第5小節のゆるみから元のテンポへ戻るつながりを聴きます。3対2の難しさに気を取られて、楽譜に書かれたこのテンポの変化を一律のクリックに合わせて消してしまわないことも大切です。
六分割からフレーズへ
六つの数は、打鍵の位置を確かめるための細かい目盛りです。曲を弾くときには、その目盛りを一つずつ強調するより、三連符の旋律がどこへ向かい、左手の分散和音がどう支えているかを聴きます。位置の練習で付いたアクセントが、音楽の抑揚として残っていないかにも注意します。
数を減らすときは、同じ短い部分を「六つを声に出して弾く」「拍の頭だけを数えて弾く」「数えずに旋律を聴いて弾く」と比べます。手は同じ速さで動かし、声に出す情報だけを減らします。数をやめた瞬間にテンポも上げると、何が変わったのか聴き取りにくくなります。
《アラベスク第1番》なら、右手だけを歌ってから両手で弾き、その旋律の続き方が残っているか聴いてみてください。次は左手の八分音符に耳を向けます。右手の三連符に合わせようとして左手の2音目が待ったり、逆に早く出たりしていないでしょうか。旋律と伴奏には強弱の違いを付けながら、意図しない時間の偏りは整えていきます。
メトロノームを使うなら、六分割の位置が分かった段階で、四分音符の拍を示す設定にします。細かい六つは自分で感じ、その中に3音と2音を置きます。クリックを止めたあとも短いフレーズを続け、再び鳴らしたときと比べると、外から拍をもらわない状態での音の進み方も聴けます。
テンポを上げるときは、三連符の一つ一つを押し出すより、次の形へ移る動きが間に合っているかを見ます。速さを変えた途端に左手が跳ねる、同時に弾く音が強くなる、といった変化が出たら、そのテンポの前後を比べてください。ゆっくり練習のテンポの決め方では、遅い練習で得たことを曲の速さへ戻す考え方を説明しています。
リズムが崩れる三つの場面
左手の2音目を右手に重ねてしまう。 この場合は、六分割の「3・4・5」を見直します。右手の2音目と3音目を一定の間隔で弾き、その間の中央に左手の2音目を置きます。中央の三つだけを何度もたたいたら、必ず前後の「1」まで戻し、1拍全体の長さを取り戻します。
毎拍の頭で合うのに、途中がぎこちない。 両手を合わせた音だけを録音で聴くと、偏りを見逃すことがあります。同じテンポで片手ずつ弾いて録音し、次に両手の録音の中から片方だけを追ってみます。どちらかが長短の付いたリズムに変わっていれば、拍の頭の一致だけでは直らない部分が残っています。
1拍は弾けるが、曲の途中から入れない。 前の音の長さ、休符、手の移動を含めて練習します。アラベスクの第6小節なら、右手の三連符から始める練習に加え、左手だけが弾く第1拍から入る練習が要ります。ほかの曲でも、難しい拍の手前に何があるかによって、準備する動きは変わります。
練習の終わりには、取り出した部分を前後のフレーズへ戻して弾きます。今は音を探すために止まったのか、リズムが片寄ったのか、それとも声部のバランスが気になったのか。次に扱う問題を一つ選ぶと、毎回すべてを六分割からやり直す練習にはなりません。
池袋・新宿でのレッスン
レッスンでは、3対2のある箇所を前後のフレーズごと聴き、数え方、指使い、旋律と伴奏のバランスを確かめます。両手を合わせた形だけでなく、どちらの声部をどう聴いているかも一緒に考えます。練習中の曲と、うまく続かない小節をお持ちください。
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