ピアノ初心者の練習時間はどれくらい?10〜20分の使い方と続け方
ピアノ初心者の練習時間は、まず1回10〜20分程度を目安に、いま取り組んでいる短い曲や課題に合わせて組み立ててみてください。仕事や学校の予定に入る長さを選び、その中で「今日は何を聴くか」を決めます。10分なら短い一部分、20分あれば、その部分を前後につなげて弾くところまで扱えます。
練習の長さは、曲の難しさとその日の課題に合わせて調整します。譜読みに時間がかかる日も、前に弾いた曲を楽しむ日もあります。時計の数字と一緒に、前回より何が聞こえたか、どこを迷わず弾けたかを見ていきます。
私はレッスンの終わりに、その週に使えそうな時間を聞きながら、家で確かめる箇所を選びます。たとえば「毎日30分」より、「最初の2小節で、右手が止まる間も左手を続けて聴く」という課題のほうが、椅子に座ったあとにすることがはっきりします。
5分・10分・20分の使い方
短い日に、いつもの練習を全部急いで詰め込むと、曲の最初だけを弾いて終わりがちです。その日にある時間で扱う範囲を変えます。5分なら一つのつながり、10分なら短い譜例、20分なら練習した箇所を曲の流れに戻す、と考えてみます。
5分
一つのつながり
迷う音と、その前後を弾く。最後に、つながりを止めずに聴きます。
10分
短い譜例
音の位置を読み、拍と長い音を確かめ、短いまとまりを弾きます。
20分
曲の流れへ
取り出した箇所を前後へ戻し、旋律や伴奏の響きまで聴きます。
長く使える日は、同じ部分の繰り返しだけで埋めず、読み方、両手、音色、通して聴く時間を分けます。短い日に取り出した箇所が、曲の中でも自然に弾けるか確かめる時間も大切です。
10分で扱う小さな譜例
バイエルOp.101の右手の準備練習を使って、短い時間の中身を考えます。この譜例はド・レ・ド・レと進み、反復したあと、最後のドを長く保ちます。使うのは、中央のドより1オクターヴ上のドと、その右隣のレです。
バイエルOp.101、右手の準備練習第1番。

譜例を選ぶと拡大できます。Cの形の拍子記号は4分の4拍子です。
最初の小節
1拍に1音ずつ、ド・レ・ド・レ。反復記号で、この小節をもう一度弾きます。
最後のド
4拍保ち、最後まで聴いてから離します。指が止まっていても、拍は続きます。
最初に鍵盤の位置を見つけ、右手の親指をド、人差し指をレに置きます。譜例では指番号1が親指、2が人差し指です。黒鍵2つのまとまりの左隣がド。その隣のレと、交互に弾きます。
音の場所が分かったら、1拍に1音ずつ、ド・レ・ド・レと弾きます。まずは速さを上げることより、4つの音が同じ拍の中で続いているか聴きます。レを探すために、その直前だけ間が長くなっていないでしょうか。
次は最後のドです。白い音符に棒が付いていない全音符は、ここでは4拍伸ばします。指が止まっていても「1、2、3、4」と拍を感じ、最後まで音を聴きます。長い音を早く離していたことに気づいたら、それが今日直す場所になります。
この短い譜例でも、音の位置、拍、音を離す時点という違う課題があります。1回弾くたびに全部を直そうとせず、最初は音の場所、次は終わりの長さ、というように耳を向けます。最後に譜例を続けて弾き、練習した違いが残っているか確かめます。


同じ10分でも、曲によって内容が変わる
すでに簡単な曲を両手で弾いている人なら、上の譜例よりも、いまの曲の中で止まりやすい2小節を選びます。音符を読むのに迷うのか、両手を合わせると拍がずれるのか、左手が大きくなって旋律を隠すのか。最初の1回を聴いて、その日の焦点を決めます。
右手の音だけが分からないなら、その音と前後を読み直します。片手では弾けるのに両手で止まるなら、同時に鳴る音と、その間に動く手を確かめます。ここで曲の頭から何度も通すより、つまずく場所へ入る動きを取り出します。
音がそろってきたら、旋律を聴く時間も作ります。同じ2小節を、左手の量を変えて弾き比べるだけでも、曲の表情は変わります。シューマンの短い作品を使った《メロディー》Op.68-1の練習では、こうした右手と左手の関係を譜例で説明しています。
毎日か、週に数回か
まず1週間の予定を見て、鍵盤に向かえる日を選びます。たとえば平日に10分を3回、休日に20分を1回、という組み方があります。通勤や学校のある日の短い時間と、少し余裕のある日の時間を、違う役割で使います。
平日の短い練習では、一つの箇所を確かめます。次に弾く日は、前回扱った箇所を先に試し、覚えているところと迷うところを聴きます。休日はその箇所を前後につなげ、曲の流れの中でどう聞こえるか確かめます。
毎日時間を取れる場合も、その日の長さを一律にそろえることより、内容を選びます。新しい譜読みをする日、前に弾いた曲を気持ちよく通す日、レッスンで変えた指使いを確かめる日。すべてを同じ日に入れると、一つずつを聴く時間が短くなります。
忙しい週が続くときは、次のレッスンまでに取り組む曲数や範囲を調整します。毎回、時間切れになる量を持ち帰るより、今の生活で扱う音楽を先生と選ぶほうが、練習の内容を保てます。
休日にまとめて練習する場合
休日が主な練習日なら、長い枠の中をいくつかのまとまりに分けます。最初に前回の曲を弾き、次に迷った箇所を取り出し、休憩を挟んで、また曲へ戻ります。弾き続けた分数だけを増やすより、再び弾いたときに何が残っているか聴きます。
平日に少し時間が取れたら、休日に決めた指使いで短い部分を弾いてみます。鍵盤が使えない日は、譜面のリズムを声で数えたり、次に確かめる小節を見たりできます。ただし、実際の打鍵や両手の感触は、次に鍵盤で確かめます。
家に楽器がない場合は、練習室へ行く回数だけでなく、その1回で何を扱うかを決めておきます。読みたい譜面と前回のメモを持ち、探す時間を減らします。場所の使い方は、自宅にピアノがない場合の練習とレッスンでも紹介しています。
練習時間を延ばすタイミング
毎回、途中で終わる課題があるときは、何が時間を使っているかを見ます。新しい音を読む時間なのか、同じミスを直し続けているのか、弾く範囲が増えてきたのか。その違いによって、時間を延ばすか、課題を小さくするかを選びます。
たとえば10分で音の確認まで終わり、フレーズとして弾く時間が残らないなら、もう5分ほど加えて、前後につなぐ練習に使います。単に同じ反復を長く続けるのではなく、増やした時間の役割を決めます。
反対に、途中から拍を数えなくなったり、同じ箇所を急いで弾き直すばかりになったりしたら、いったん休憩します。戻ってから、次に聴くことを一つ選び直します。練習の終わりを時計だけに任せず、音を聴けているかも確かめます。
上達を分数以外で見る
練習した時間を記録するなら、その横に短い観察も残します。「15分」だけでなく、「最後の音を4拍保てた」「第2小節へ入る前に止まらなかった」という書き方です。次回はその部分から弾いてみます。
譜読み、拍、両手、音色は、同じ日に同じようには変わりません。昨日まで迷っていた音をすぐ見つけられても、両手ではまだ止まることがあります。その場合は、音の確認を最初から繰り返すより、手を合わせる場所に時間を使います。
録音も、短い範囲の比較に使えます。前回と今回を聴き、旋律が途中で消えていないか、長い音が短くなっていないかを比べます。録音するたびに完成した演奏を作ることより、同じ場所の変化を聴くことに使います。
「何か月で1曲弾けるか」という見方だけでは、こうした変化を見落としがちです。曲の長さや難しさ、練習環境が違えば、必要な時間も変わります。レッスンでは、今の曲で何を学んでいるかを言葉にし、次に選ぶ曲にもつなげます。
中高生の家庭練習
中高生の場合は、学校や部活動、試験の予定と合わせて練習の量を考えます。保護者の方が毎回分数を管理するより、本人が今週の課題を説明できるか聞いてみてください。「この2小節を、左手が大きくならないように弾く」など、聴く場所が分かる言葉にします。
時間が少ない週は、レッスンでも扱う範囲を相談します。保護者の方が曲の完成度だけでなく、「前とどこが変わったと思う?」と尋ねることで、本人が音を聴いて判断するきっかけになります。家庭では、練習する場所と時間を確保することも大きな支えです。
レッスンで決める自宅の課題
レッスンでは演奏を聴き、家で扱う範囲と、そこで何を確かめるかを一緒に選びます。指使い、両手のタイミング、旋律の音量などをその場で試し、違いを聴いてから持ち帰ります。自宅の楽器や、普段使える練習時間も教えてください。
初めての方は、初心者の体験レッスンの流れもご覧ください。短い練習時間で何を始めるか、今の段階に合った曲はどれかを相談できます。
Vienna Piano Schoolでは、池袋・新宿のピアノスタジオでの対面レッスンのお申し込みを受け付けています。現在は開講準備中です。無料体験レッスンを申し込む際に、経験と、普段の練習環境をお知らせください。初回体験は55分・無料。通常は55分4,800円、室料800円を加えて合計5,600円です。開始時期と体験の日程はメールでご案内します。
この記事をシェア
関連記事
練習法
大人の初めての発表会:選曲から本番までの準備
初めてのピアノ発表会に向けて、選曲、練習、試演、暗譜や楽譜の使い方、服装と当日の流れを整理します。本番の日を入力できる準備計画と、入退場のチェックリストで、仕事や生活に合わせた予定を立てましょう。
練習法
大人のピアノレッスンは月何回がよい?頻度の決め方
大人のピアノレッスンは週1回、月2回、月1回のどれが合うのか。練習を自分で進められる期間、目標、本番までの期限、生活、予算をもとに、最初の頻度と見直し方を具体的に紹介します。
練習法
ピアノ初心者におすすめの簡単なクラシック曲と、選び方
ピアノ初心者に向けて、クラシックで本当に取り組みやすい曲と、その選び方を整理しました。難易度を判断する基準、見た目より難しい有名曲、定番のおすすめ曲、無料で楽譜を入手する方法までを、現役講師の視点で解説します。


