ロンドン音楽留学のピアノ受験:実技と英語面接の準備

Enea — Vienna Piano School 主宰
Enea

ロンドンの音楽大学でピアノを学びたい方へ。日本の学歴と卒業予定、RCM・Royal Academy・Guildhallの課題曲、2027年入学の締切を確認し、演奏と英語面接を日本でどう準備するかを解説します。

ロンドンの音楽大学でピアノを学びたいなら、実技の仕上げと英語で音楽を話す練習を、並行して進めましょう。演奏した作品について説明する、先生の提案を聞いて弾き直す、初めて見る楽譜の特徴を言葉にする。留学準備の英語は、普段のピアノの勉強の中から始められます。

そのうえで、志望課程の出願資格、課題曲、語学証明を確認します。ここでは日本からの受験を考える方に向けて、Royal College of Music(RCM)、Royal Academy of Music、Guildhall School of Music & Dramaの主に学士課程(BMus)を例に、演奏と英語の準備を考えます。RCMとRoyal Academyは別の学校です。学校名だけでなく、課程名まで揃えて募集要項を読みます。

  • 学士・修士のどちらを目指すか、日本の学歴と卒業予定を確認する
  • 出願締切と録画提出日を分け、日本時間でも把握する
  • 志望校の条件に合う演奏曲を選び、初見や聴音も続ける
  • 曲について話す英語と、入学に必要な英語証明の両方を準備する
ロンドンのプリンス・コンソート・ロードに面したRCMの赤れんがの校舎

課程と日本の学歴

高校卒業後に進む学士課程と、大学などで学んだ後の修士課程では、受験の前提が変わります。すでに音大に在学している場合も、学士を取得してから修士へ進むのか、学士課程の途中年次への編入を相談するのかで必要書類が異なります。現在の学校名、課程、取得予定の学位、卒業年月を最初に書き出しておきます。

Royal AcademyのBMus初年度の資格一覧には、日本のUpper Secondary School Leaving Certificateが記載されています。Guildhallの学部入学資格には、高校卒業資格と高等学校卒業程度認定試験が挙げられています。自分の資格を確認するときは、こうした国別の記載を探します。英国のA-levelの成績条件を、日本の評定に自己判断で換算するのは避けましょう。

たとえば2027年3月に高校を卒業し、同年秋の入学を希望するなら、主な出願時期は卒業前の2026年秋です。出願時点では在学中であることと卒業予定日を伝え、取得後に出す証明書や成績表について学校の指示を確認します。「卒業したら出願を始める」という順番では、その年の主な募集に間に合いません。

大学卒業後の進学では、学位の名称だけでなく、履修した内容やこれまでの演奏活動も見直します。ソロ曲を多く学んできた人が、次の数年間で歌曲伴奏や室内楽を深めたいこともあります。課程選びは今までの延長だけで決めず、入学後に何を変えたいかまで考えたいところです。

私なら、進路を相談するときに、今弾いている曲と最近取り組んだ曲をまず聴きます。難しい曲を弾いていても、ゆっくりした旋律の支え方や、複数の声部を聴き分ける力には発展の余地があるかもしれません。実際の音を聴くと、留学までに育てたい課題が見えてきます。

出願日程と日本時間

2027年入学の主な募集では、2026年10月1日が出願の大きな区切りです。RCMとRoyal AcademyはUCAS Conservatoiresを使い、Guildhallは学校へ直接出願します。さらにRoyal AcademyではAcceptdのプロフィール提出も必要です。共通の出願サイトを一つ送れば、ロンドンの全校に申し込める仕組みではありません。

2027年入学:主な出願締切

以下の日付はすべて2026年。英国夏時間(BST)と日本時間(JST)を併記しています。

RCM

UCAS Conservatoires

英国時間
10月1日 18:00
日本時間
10月2日 02:00

BMusのロンドン・動画受験の出願。動画提出日は別に設定。

Royal Academy of Music

UCAS + Acceptd

英国時間
10月1日 18:00
日本時間
10月2日 02:00

主な募集の出願とAcceptdプロフィール。両方の提出が必要。

Guildhall School

学校へ直接出願

英国時間
10月1日 16:30
日本時間
10月2日 00:30

BMusの主な出願締切。録画提出日は別に設定。

英国は2026年10月25日に夏時間が終わります。そのため、10月1日の締切は日本との時差が8時間ですが、冬の面接では9時間になります。オンライン面接の予定を受け取ったら、現地の日付と時刻、その時期の時差を確認しましょう。

録画の提出日は出願日と同じとは限りません。RCMのBMus動画提出は2026年10月26日、Guildhallの録画審査は10月23日です。Royal Academyの主な動画受験では、10月1日のAcceptd提出期限に合わせます。録画方式や海外会場を選ぶ際は、その方式に対応した日程を読みます。

高校や大学の先生へ推薦をお願いする時期も、秋の締切から考えます。志望理由や演奏歴をまとめる作業には、普段の練習とは違う時間が必要です。夏までに曲が決まっていても、出願書類が自動的に揃うわけではないので、演奏と書類の進み具合をそれぞれ把握しておきます。

Vienna Piano School
グランドピアノを弾く生徒に、楽譜を示しながら指導する講師。

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ピアノ実技と選曲

同じBMusのピアノ受験でも、準備する曲数や演奏時間は学校ごとに違います。主専攻ピアノの現在の条件を簡潔に並べると、次のようになります。

  • RCM:自由選択の3作品、合計15分以上、暗譜。時代・様式・性格に幅を持たせます。
  • Royal Academy:ソロ作品を2曲以上、合計30分以上。個別の楽章も認められ、複雑な現代作品を除いて暗譜が求められます。
  • Guildhall:対照的な自由曲3曲を暗譜。BMusのピアノ要項には、全体の最低演奏時間は示されていません。

これは準備するプログラムの条件です。現地審査で全曲を最初から最後まで聴いてもらえるとは限りません。修士には別の受験要項があります。たとえばRCMのピアノ修士では、高度な練習曲を含む50分のプログラムが求められ、準備する音楽の量が大きく変わります。

選曲では、曲の難度と同じくらい、自分の演奏の幅を考えます。速いパッセージが得意な人が、速い曲を3曲並べても、弱い音の扱いや長い旋律の歌い方は伝わりにくくなります。逆に、叙情的な曲で音色を作れる人には、拍の明確な舞曲や、声部が独立して動く作品がよい課題になることがあります。

たとえば古典派の楽章なら、主題が戻る場面を比べてみます。最初は軽く聞こえた主題が、展開部を経て戻るときにも同じ性格なのか。和声、音域、伴奏の配置が変わることで、同じ旋律の重みがどう変わるのか。速さを上げる練習だけでは、こうした違いは育ちません。

本番に近い通し演奏では、曲と曲の間も聴いてください。響きの厚い作品の後に、明瞭な発音が必要な曲を始めると、前の曲のペダルや打鍵の感覚を引きずることがあります。一度手を離し、次の曲の最初の音を内側で聴いてから弾く。短い沈黙の中にも、音楽を切り替える仕事があります。

アップライトピアノの楽譜を見ながら鍵盤を弾く手元

英語面接と志望理由

面接で話す内容は、立派な将来像だけではありません。最近何を学んだか、どの作品に関心があるか、今の演奏で何を改善したいか。RCMの案内でも、志望理由や音楽的な関心、今後伸ばしたい点が話題の例として挙げられています。

「表現力を高めたい」と伝えるなら、自分が苦労している場面まで話してみます。たとえば「ゆっくりした楽章で、音と音の間にフレーズが途切れてしまう」「室内楽で、相手に旋律が移った後も自分が弾きすぎてしまう」。その課題をどう聴き、何を試しているかまで話せれば、日々の勉強が伝わります。

英語では、まず短い文で自分の経験を説明します。歌曲伴奏に取り組み始めた人なら、I have recently started working with a singer. に続けて、I want to learn how the piano can follow the breathing without losing the pulse. と話せます。最近の活動と、そこから生まれた学習課題を結ぶ答えです。

この内容は、志望校の授業や学習機会を調べるときにも役立ちます。気になる教授の名前に加え、室内楽や歌曲、現代作品など、自分が深めたい分野を学べる機会を探します。パンフレットの褒め言葉を覚えるより、そこで取り組みたい音楽について話す方が、自分の志望理由になります。

UCASのパーソナルステートメントは、現在は3つの質問に分かれています。なぜその分野を学ぶのか、学校での勉強がどう準備になったか、学校外で何をしてきたか、という内容です。コンクール歴や受賞歴を記すだけで終わらず、その準備や共演から何を学んだかを書きます。面接では、書いた内容を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

演奏を変える英語のやり取り

留学先では、先生の英語を聞いて、すぐに演奏を変える場面が続きます。説明を全部日本語に訳してから弾く練習だけでは、音楽のやり取りが途中で止まりがちです。最初は短い指示を一つ聴き、その内容を音で試す練習から始めます。

Bring out the melody. なら旋律を前に出す、Keep the left hand lighter. なら左手の響きを軽くする、というように、言葉と音を対応させます。同じ旋律を前に出す場合でも、右手を強くする方法と、伴奏を控える方法では結果が違います。どちらを試したのかを英語でひと言添えると、会話が演奏の中に入ってきます。

主題の変化を英語で話す

同じ旋律が高い音域に戻る場面を、レッスンで取り上げる例です。

先生の問いかけ

What changes when the theme comes back?

主題が戻ると、何が変わりますか。

楽譜と音に沿った答え

The melody is higher, so I want a brighter sound. I’ll keep the left hand lighter.

旋律が高くなるので、明るい響きにしたいです。左手は軽く弾きます。

弾いて確かめる
最初の主題と戻ってきた主題を続けて弾き、旋律の音色と伴奏の支えを聴き比べます。
伴奏を軽くしすぎたら

I lost some of the bass line. I’ll keep the bass clear and soften the middle notes.

低音の線が弱くなりました。低音は明確にして、中の音を控えます。

「左手を軽くする」を、低音と内声のバランスまで分けて試してみます。

上の例では、主題が高い音域に移ったことと、左手の響きを抑える判断が一つの答えになっています。実際に弾いたときに旋律が浮かび上がるか、伴奏が痩せすぎて支えを失っていないかを聴きます。英語の文が正しくても、演奏にはもう一度試す余地があります。

私は、音楽のための英語では「どう言えばよいか」と「何を聴いているか」を一緒に扱いたいと考えています。たとえば重いと感じた原因が音量なのか、発音の長さなのか、ペダルの重なりなのか。まず耳で分け、その違いを言葉にする。

分からなかったときも、場所や動作を絞って聞き返せます。Do you mean the second phrase? は「2つ目のフレーズのことですか」、Would you like less pedal here? は「ここはペダルを少なくしますか」です。長い定型文を用意するより、楽譜を指しながら短く確かめる練習を重ねます。基本的な会話から慣れたい方には、英語でピアノを習うときのやり取りも紹介しています。

初見・聴音と音楽の説明

仕上げた作品以外の音楽に出会う準備も必要です。RCMでは器楽の初見が案内され、Royal AcademyのBMusには楽譜の抜粋を使った話し合いや、旋律を歌う、和音の中の音を聴く、リズムを読むといった課題を含む面接が示されています。課題曲だけを毎日弾いていると、こうした力を使う機会が減ってしまいます。

初めての楽譜を見たら、いきなり様式を言い当てようとせず、目と耳で確認できる特徴を挙げます。3拍子であること、短い動機が繰り返されること、旋律に対して低音が規則的に進むこと。The same rhythm appears in each phrase. のような短い説明でも、どこを見てそう考えたかを示せます。

次に、その特徴が演奏に与える影響を考えます。同じリズムが続くなら、全部を同じ重さで弾くのか、和声が変わる場所へ向かうのか。低音が半音ずつ動くなら、旋律の同じ音が別の緊張を持つこともあります。分析の用語を答えるところから、音をどう作るかまで進めてみます。

初見の練習では、現在の課題曲より易しい曲を使い、一定の拍で最後まで読みます。始める前に調号、拍子、休符、急な音域の移動を確認し、弾き終わってから間違えたところへ戻ります。通して読む時間と、立ち止まって仕組みを理解する時間を分けてください。

聴く練習なら、短い旋律を歌ってから鍵盤で確かめる、和音の内声を歌う、二つのリズムを叩き分けるなど、課題曲とは別の材料を少しずつ使います。鍵盤を見れば弾ける音を、耳だけでも追えるか。受験を機に、その感覚も育てておきたいところです。

英語証明と入学条件

音楽について英語で話す力と、学校に提出する語学証明は別に準備します。BMusの条件として、RCMは4技能すべてのCEFR B2を示し、IELTSでは各技能5.5を挙げています。Royal AcademyのBMus初年度とGuildhallのBMusも、IELTS Academic総合5.5、各技能5.5以上が現在の基準です。

この数字をロンドンの全課程に共通する基準と考えないようにします。同じ学校でも修士や編入では条件が変わります。受け付ける試験、代替できる学歴、結果の有効期間も、志望課程のページで確認します。一般的な留学情報より、自分が入学する課程の条件を優先します。

語学証明の期限は、秋の出願日より後に設定されることが多く、RCMとRoyal Academyは通常、入学前の5月1日を案内しています。Guildhallは通常4月下旬で、遅い時期の合格通知には別の期限があります。出願した時点で終わりとせず、合格通知に残っている条件と提出日を確認してください。

高校卒業や大学の学位取得、英語結果などが条件として残る合格通知は、conditional offerと呼ばれます。どの書類をいつまでに提出するかを読み、学校からの指示に沿って条件を満たしていきます。

英語の勉強を試験問題だけに限定しないことも大切です。関心のある作品の解説を読み、録音を聴き、その解説のどこに納得したかを話す。レッスン後に、直した箇所を英語で短く書く。読む・聴く・話す・書く活動を、今学んでいる音楽にも広げていきます。

日本で進める留学準備

録画受験を選ぶ場合は、その学校が要求する演奏の範囲を確認してから収録します。Royal AcademyのBMusピアノでは、30分のプログラムを編集なしの連続した動画にし、別に短い英語の自己紹介を提出するよう案内されています。学校によって曲の分け方や提出形式が違うので、動画審査の録音・撮影準備と募集要項を合わせて読みます。

練習のための録音は、短い一場面でも役に立ちます。主題の再現、伴奏の音型が変わる場所、終止へ向かう数小節など、自分が説明したい箇所を録って聴きます。英語で述べた意図が音になっていなければ、次のレッスンではその差を扱います。

模擬面接では、用意した答えの順番を変えたり、演奏を聴いた後の質問に答えたりしてみましょう。「なぜこの曲を選んだか」に続いて「どこがまだ難しいか」と聞かれたとき、自分の勉強を話せるか。先生の提案を受けて弾き直すと、最初の解釈と何が変わったか。答えを暗唱する練習から、音楽を聴いて考える対話へ進めます。

Vienna Piano Schoolでは、ピアノの実技準備と、音楽に必要な英語のやり取りを扱えます。志望する学校・課程、演奏中の曲、受験予定をお知らせください。演奏の課題を聴いたうえで、選曲、解釈、英語での説明のどこから取り組むかを考えます。

対象は中学生以上と大人の方です。池袋・新宿のピアノスタジオでの対面レッスンは2026年10月から始まります。通常レッスンは55分・4,800円です。無料の30分体験レッスンでは、ロンドンへの音楽留学を検討していることもお書きください。

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