ライプツィヒ音楽演劇大学のピアノ受験:課題曲・ドイツ語・関連試験

Enea — Vienna Piano School 主宰
Enea

ライプツィヒ音楽演劇大学のピアノ学士課程を日本から目指す方へ。5区分の課題曲、ソナタ全楽章、動画とドイツ語、聴音・楽典の関連試験を解説し、2027年の出願日程に合わせた準備を考えます。

ライプツィヒ音楽演劇大学(HMT Leipzig)のピアノ学士課程を受験するなら、5つの区分に合う作品をそろえ、全曲を弾く準備と動画に抜粋する部分の準備を並行して進めます。実技に加え、ドイツ語での自己紹介、聴音・楽典などの筆記試験もあります。

私が最初に聴きたいのは、いちばん得意な1曲と、今まさに勉強している1曲です。得意な曲からは音楽の方向性が、新しい曲からは譜面の読み方や練習の進め方が見えてきます。その両方を、大学が求める曲目の幅と照らし合わせて準備を考えます。

  • 対象課程: クラシック・ピアノのBachelor of Music、学士課程第1学期への入学。
  • 実技: 5区分の作品。古典派の欄ではソナタ全楽章または変奏曲全曲を準備。
  • 関連試験: 動画内のドイツ語、語学証明、聴音・音楽理論も確認。
  • 次の募集: 公表されているピアノの入学時期は2027/28年冬学期。出願は2027年3月。
ライプツィヒ音楽演劇大学、グラッシ通りの本館外壁とアーチ状の入口

学士課程と出願日程

HMT Leipzigのピアノ学士課程は8学期・240単位です。専攻実技に加え、室内楽、伴奏、音楽理論、指導法などを学び、演奏や教育の専門性を育てます。独奏の課題曲が弾けることに加え、別の楽器と音を合わせたり、楽譜の構造を言葉で説明したりする力も、入学後の学びに関わります。

2027/28年冬学期の出願期間は2027年3月1〜31日、書類・動画のアップロード期限も3月31日です。対面の入学試験期間は5月31日〜6月5日、授業開始は10月4日と公表されています。2027年夏学期については、ピアノの欄に募集なしと明記されています。同じ学科の指揮や室内楽の予定と取り違えないようにしましょう。

日本で2027年3月に卒業する予定なら、卒業前後が出願時期と重なります。卒業証明書が発行される日、大学に提出する学歴書類、語学試験の結果が届く日を、実技の予定と一緒に見ておきます。卒業予定の段階で使える書類や後日提出の扱いは、大学の事務に確認します。

第1学期への入学では、専攻資料に入学時の年齢上限が25歳と示されています。学歴については大学入学資格の確認があり、一般学修規程には、特に優れた芸術的適性に基づく例外も定められています。日本の卒業証書だけで出願資格を自己判断せず、学校名・課程・卒業時期を示して照会するとよいでしょう。

出願には大学独自のポータルを使います。現在の手順は、署名した申請書、履歴書、手数料の支払証明などをPDFでアップロードする方式です。入力を保存した後に、申請を提出する操作もあります。曲目を決める際は、学士課程のページからリンクされているピアノ専攻資料を開いてください。現在掲載されている資料は2026年1月付で、募集日程は2027年の予定が公表されています。出願開始時には両方を見直します。

課題曲の5区分

対面実技で準備する作品は、次の5区分です。各区分には、選曲の相談で私が確かめたい演奏上の点も添えました。

対面実技の曲目と、準備で聴く点

01

バロック

1作品

主題の入り方、声部の独立、音の切り方を聴く。

02

古典派(シューベルトを含む)

ソナタ全楽章、または変奏曲全曲

第1楽章だけでなく、遅い楽章や終楽章まで同じ深さで学ぶ。

03

ロマン派

1作品

旋律と低音の方向、内声の重さ、響きの変化を考える。

04

20・21世紀

1作品

その作品固有のリズム、音色、記譜法を読み取る。

05

技巧的な練習曲

1曲

難しい箇所でも音楽の線と和声の動きを保つ。

とくに日本でコンクールや発表会を中心に曲を学んできた場合、得意な作曲家や特定の楽章に経験が集中していることがあります。まず、作品名の横に「人前で演奏した」「以前習った」「現在譜読み中」と書き、曲全体の経験を見ます。以前弾いた曲も、今の耳で弾き直すと、当時は気づかなかった伴奏の重さや声部の動きが聞こえてきます。

バロック作品なら、主題が別の声部に現れたところで、聞き手の耳もその声部へ向かうでしょうか。すべての音を同じ重さで鳴らすと、指は正確に動いていても、音楽の受け渡しが隠れます。ある声部を少し際立たせたときに、ほかの声部の流れまで途切れていないかを聴きます。

ロマン派の曲では、旋律と伴奏の関係をさらに細かく考えます。右手のいちばん上の音を出すだけでは、長い歌にならないことがあります。和声が変わる瞬間、低音が次の場所へ向かう瞬間を感じ、その上に旋律を置きます。左手を小さくしすぎて音楽の土台が消えるなら、伴奏全体の音量より、内声の重さを調整したいところです。

20・21世紀の作品を新しく加える場合は、音符を覚える期間に加え、その曲のリズムや響きに慣れる時間を取ります。不規則な拍子、音の重なり、休符の長さなど、作品ごとの中心があります。古典派やロマン派の弾き方をそのまま当てはめず、譜面に書かれた音の長さや強弱が、どんな表情を作るのかを探ります。

技巧的な練習曲も、音楽として最後まで聴きます。速い部分を抜けることだけに意識が向くと、和声の変化や旋律の頂点が平らになりがちです。私は、少し小さな音で弾いたときにも線が聞こえるか、繰り返す形の中に方向があるかを確かめます。

Vienna Piano School
グランドピアノを弾く生徒に、楽譜を示しながら指導する講師。

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ウィーン育ちのコンサートピアニスト、Enea。

Enea

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ソナタ全楽章の準備

古典派の欄にある「全曲」は、準備量を大きく左右します。第1楽章をコンクールで演奏したソナタでも、緩徐楽章や終楽章をこれから学ぶなら、その曲はまだ受験用プログラムの途中です。シューベルトも、この要項では古典派の区分に含まれます。

緩徐楽章では、音の少なさが難しさになることがあります。旋律の長い音は、打鍵した後に押し直して伸ばすことができません。最初の響き、次の音へ移る時機、その間に動く伴奏で、ひと続きの歌を作ります。遅いテンポでも拍の流れが残り、和声の変化が聞こえる演奏を目指します。

たとえば、同じ旋律が後半でもう一度出てくる場面を比べます。前半と後半で低音や内声が変わっているなら、旋律の表情にも違いが生まれます。まず旋律と低音だけを弾き、その違いを耳で確かめてから、中間の音を戻します。音が増えても、最初に聴いた和声の動きが残るかがポイントです。

終楽章では、冒頭の弾きやすい部分だけでテンポを決めないことです。途中に密度の高い箇所や細かいアーティキュレーションがあるなら、そこまで同じ拍感で弾いてみます。少しテンポを落とした結果、音のまとまりや会話のような受け答えが鮮明になることもあります。全体を聴いて、その曲の性格を最もよく出せるテンポを選びます。

変奏曲を選ぶ場合も、各変奏を並べるだけでなく、主題から何が引き継がれ、何が変わったのかを追います。旋律が装飾されても、和声の節目やフレーズの長さが残ることがあります。変奏の間に置く間合いまで含めて、大きな流れを考えましょう。

動画予備審査

動画では、演奏前にドイツ語で1分以上の自己紹介と志望理由を述べ、続いて課題曲プログラムから選んだ部分を10分以上演奏します。撮影日は、出願期間の開始時点で2か月以内という条件です。締切日からさかのぼると読み違えるので、録画を予定するときは「出願開始」を基準にします。

顔・上半身・手が見え、演奏の音が十分に聞き取れる画角と録音にします。説明には曲名と動画内の開始時刻を記載します。動画で選ぶ部分と、対面試験で準備する全プログラムは、区別して管理しましょう。

抜粋を選ぶとき、難しい部分ばかりを集めると、旋律を歌う力や声部を聴く力が伝わらないことがあります。短い時間の中にも、音色、拍感、響きの変化が聞こえる場面を入れたいところです。曲の途中から始める場合も、その場面に入る前の音楽を頭の中で聴き、最初の音からテンポと性格を持って弾きます。

録音を聴くと、自分の感覚との違いにも気づきます。跳躍を大きな動きで弾いたとき、本人には勢いが感じられても、録音では着地の音だけが突出しているかもしれません。反対に、柔らかく弾いたつもりの旋律が伴奏に隠れていることもあります。映像の出来を判断する前に、聞き手に届いた音楽を聴きましょう。

録画を試した後は、選んだ抜粋だけでなく、作品全体に戻ります。動画の撮影日と対面試験の日の間にも、後半の楽章や暗譜を育てる時間が続きます。

アップライトピアノの鍵盤に置いた手と奥に立てた楽譜

ドイツ語の自己紹介とB1

外国人のピアノ学士課程志願者には、認められた語学試験によるドイツ語B1以上の証明が求められます。どの証明書をいつまでに提出するかは、出願書類とともに確認します。動画の自己紹介が話せることと、語学証明を提出することは、それぞれ準備が必要です。

自己紹介では、氏名や音楽歴に加え、なぜライプツィヒでピアノを学びたいのかを話します。学校の知名度に触れるだけでなく、今学んでいる音楽と、大学で深めたいことを説明したいところです。伴奏を経験して相手の呼吸を聴く面白さを知った、バッハを学ぶうちに声部の関係に関心を持った、といった本人の経験が話の中心になります。

音楽歴から、学びたいことへ

自己紹介の中で、自分の経験に合わせて発展させる短い例。

これまでの経験
Ich habe bisher vor allem Solowerke gespielt. Seit Kurzem begleite ich auch eine Sängerin.
これまでは主に独奏曲を弾いてきました。最近は歌手の伴奏もしています。
そこから生まれた関心
Dabei interessiert mich besonders, wie sich der Atem auf die Gestaltung einer Phrase auswirkt.
その中で、呼吸がフレーズの作り方にどう関わるのかに、とくに関心を持っています。
演奏の例で説明するなら

Vor dem Einsatz der Sängerin lasse ich etwas mehr Zeit. Die Bewegung im Klavier soll aber weitergehen.

歌が入る前に少し時間を取りますが、ピアノの動きは保ちたいと思っています。

前奏の終わりから歌の入りまで弾いてみます。間を広げたときも、伴奏の流れが止まっていないかを聴きます。

このような短い話を、自分の音楽歴や志望理由と合わせて広げ、必要な長さの自己紹介にします。練習では、日本語の文章を一字ずつドイツ語に置き換えるより、「これまでの経験」「今の課題」「次に学びたいこと」という内容を自分で思い浮かべて話してみます。途中で単語が出てこなければ、知っている表現で言い直す練習も役立ちます。

演奏と結びつく語彙も増やしておきます。たとえばStimmeは声部、Begleitungは伴奏、Klangは響きです。「伴奏を軽くする」と言ったら、実際に弾いて、旋律との釣り合いがどう変わるかを聴きます。私は音楽のドイツ語を扱うときも、言葉の意味を確かめた後で、もう一度音を出すやり取りを大切にしています。

要項を読む際には、mindestens(少なくとも)、vollständig(全体を省かずに)、auswendig(暗譜で)なども重要です。数字だけを拾って読むと、最低時間と上限、全曲と一部を取り違えることがあります。レッスンでよく聞く表現は、ピアノのドイツ語用語集でも紹介しています。

聴音・楽典の関連試験

第1学期への志願者には、聴音と音楽理論・和声に関する2つの筆記試験があり、合わせて約90分です。現在の受験準備ページでは、以前の学修歴があっても、第1学期への志願者は両方を受けるとされています。実技に合格しても筆記の一部が不合格だった場合は、入学のために口頭再試験への合格が必要です。

大学は、ジャズ・ポピュラー音楽を除く音楽系学士課程向けの模擬問題を公開しています。同じページにある教職課程向けの問題と区別して見ます。音程・和音の聴き取りや記譜、リズム、和声、楽曲の分析などがあり、鍵盤楽器の志願者には、2声の聴音で上声と下声の両方を書く設問もあります。

普段ピアノを弾いていると、左手の形から和音を覚えていても、音だけを聴いたときに構成音を追えないことがあります。反対に、楽譜上では和音を説明できても、低音が動いたとたんに響きの位置づけを見失うこともあります。まず模擬問題を解き、聴き取り、記譜、名称のどこで止まったかを分けて見ます。

練習している曲の短い終止を使うのも一つの方法です。低音を歌い、上の旋律を歌い、それぞれがどの音へ進むかを確かめます。その後、低音だけを弾きながら旋律を頭の中で聴きます。両方の声部を一度に追えないときは、短い範囲で一方を保ち、もう一方を聴くところから始めます。

書く練習では、聴こえた音の高さに加え、拍のどこに音があるか、どこまで伸びるかを確認します。旋律の輪郭が合っていても、休符やタイが違えばフレーズの動きは変わります。答えを見た後に正解の音を弾き、自分の記譜と何が違って聞こえるかを比べると、次に聴く点が定まります。

問題文の動詞にも慣れておきましょう。benennenは名称を答えること、notierenは記譜すること、ergänzenは不足部分を補うことです。日本語ならすぐに解ける内容でも、指示の読み取りに時間がかかるなら、音楽とドイツ語の両方から準備します。

暗譜と対面実技

対面実技は暗譜が基本で、現代作品1曲について楽譜の使用を認める例外があります。楽譜を使う予定の作品がこの扱いに入るか不明な場合は、曲名を示して専攻に確認します。

暗譜では、曲の最初から最後まで弾けるかに加えて、途中の場所を思い浮かべられるかを確かめます。主題が戻るところ、調が変わるところ、伴奏の形が変わるところなどを、音と楽譜の両方で捉えます。似た形が何度も出てくる作品ほど、その先の行き先を知っておくことが支えになります。

私は、途中から弾いてもらうとき、その直前の低音や旋律を頭の中で聴いてから始めるように勧めます。正しい鍵盤に指を置くだけでは、音楽の続きにならないからです。前のフレーズから受け取る勢いや、次の和声へ向かう感覚があると、途中の入り方にも表情が出ます。

審査員は演奏を途中で止めることがあります。別の曲や箇所へ移る練習では、前の曲のテンポや響きを一度手放し、次の音楽を聴いてから弾き始めます。全曲を通す練習と、このように場所を選んで弾く練習を両方経験しておきましょう。

初めてのピアノでは、同じペダルの深さでも響きが変わります。低音が長く残る楽器なら、踏み替えだけでなく、低音そのものの出し方や内声の重さも聴き直します。覚えてきた動作を再現するだけでなく、その場の音を受け取って演奏を調整する力を育てたいところです。

日本で進める受験準備

受験までのレッスンでは、作品の仕上がりに合わせて重点を変えます。新しいソナタの全楽章を学ぶ時期、5曲を人前で弾いて全体を聴く時期、動画に使う部分を選ぶ時期では、必要な作業が違います。聴音やドイツ語はその間も継続し、実技が完成してから初めて手をつける順番にはしないことです。

相談には、候補曲の一覧と最近の演奏を持ってきてください。楽章名、以前に演奏した時期、現在困っている箇所まで分かると、曲ごとの準備量を見積もれます。私のレッスンでは、選曲と演奏の指導に加え、音楽のためのドイツ語、教授への連絡に向けた表現なども扱います。

ウィーンピアノスクールでは、2026年10月から池袋・新宿のピアノスタジオで対面レッスンを行います。対象は中学生以上と大人の方、通常レッスンは55分・4,800円です。無料の30分体験レッスンのお申し込みには、ライプツィヒへの留学を検討していること、希望する入学年、現在の曲目をお書きください。

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