音大・海外音大受験はいつ準備を始める?12か月の計画
音大・海外音大の受験準備は、進学を考えた段階で現在の演奏を聴いてもらい、志望課程の条件を調べるところから始めましょう。試験当日だけでなく、出願や動画提出など、先に来る締切から逆算するのが基本です。曲を仕上げる時間と並行して、語学、楽典・聴音、書類の準備も確保します。
ここでは、ピアノをすでに学んでいる方を対象に、最初の出願・動画提出の締切までを12か月で組む例を紹介します。初心者が1年で音大に合格するための計画ではありません。現在の力、課程、課題曲によっては、もっと長い準備が必要です。国内進学にも、オーストリア、ドイツ、ドイツ語圏スイスへの留学にも使える考え方ですが、実際の日付は各校の最新要項を優先してください。
オーストリア・ザルツブルクの街並み。留学先の参考写真で、大学校舎を示すものではありません。
まず「何を受けるか」と締切を分ける
同じ大学でも、学士、修士、演奏専攻、教育系の課程では入口が異なります。大学名に加えて、課程名、専攻、入学する学期を1行に書いてください。「ウィーンでピアノを学びたい」から、「どの課程に、いつ入るための準備か」まで具体化すると、読むべき資料が絞れます。
次に、出願、演奏動画、対面実技、理論試験、語学証明、入学手続きの日付を別々に記録します。ウィーン国立音楽大学(mdw)のピアノ演奏専攻学士課程では、2027/28年冬学期・2028年夏学期入学に向けて、次の予定が公表されています。2026年9月13日に確認した例です。
mdw ピアノ演奏専攻・学士課程
2027/28年冬学期・2028年夏学期入学の例
提出 / 2027年
出願の締切
受付開始:2月15日
提出 / 2027年
動画の締切
アップロード開始:2月22日
試験 / 2027年
対面実技
動画選考を通過した場合
試験 / 2027年
理論試験
実技と別の日程
対面試験より前に、出願と動画の二つの締切があります。大学院や他校の予定とは区別してください。
2026年9月13日、公式日程を確認。変更の可能性があります。時刻・提出条件を含む最新案内は末尾の参考資料から確認できます。
この例で6月の対面実技だけを目標にすると、4月の出願と動画提出に間に合いません。カレンダーには公式締切と、その前に自分で確認を終える日を両方入れます。日付だけが掲載されている場合も、締切時刻、現地の時間帯、提出後の修正可否を確認しましょう。別の課程に、この日程をそのまま当てはめることはできません。
国内でも、情報の公表日と出願日は別です。東京藝術大学の公式案内では、2027年度音楽学部・別科の試験内容・課題曲は10月、学生募集要項は12月上旬の公表予定となっています。9月13日時点で声楽科の課題曲が掲載されていても、ピアノ専攻の内容が確定したことにはなりません。準備を進めながら、該当資料と訂正のお知らせを確認する日を決めておきます。
12か月は、最初の提出から逆算する
下の図は、最初の出願・動画締切を基準にした作業例です。「12か月前」は、入学や対面試験の12か月前ではありません。試験までの残り時間と混同しないよう、まず基準日を書き込みます。語学証明や奨学金などにさらに早い締切があれば、その準備を先に置いてください。
基準:最初の出願・動画締切。各月の「確認できるもの」を並べた準備例です。
語学、演奏、理論・聴音は並行して継続。証明や書類の準備に時間がかかる場合は前倒しします。
- 12か月前
課程と締切を仮決め
大学・課程・入学期と、最初の締切のメモ
- 11か月前
演奏の現在地を確認
曲ごとの仕上がりと、先生に聴いてもらう録画
- 10か月前
関連科目・語学を点検
必要な試験と証明、苦手な課題の一覧
- 9か月前
希望する指導を調べる
担当教授・課程の確認と、相談したい質問
- 8か月前
曲をつないで弾く
通して分かった課題と、次に直す範囲
- 7か月前
録画条件を試す
指定に沿う画角と音で撮ったテスト動画
- 6か月前
書類の準備を進める
発行・翻訳などの依頼先と受取予定
- 5か月前
聴き手の前で試す
模擬演奏の記録と、曲順・曲間の課題
- 4か月前
要項と再照合する
曲目、提出物、語学証明の不足リスト
- 3か月前
提出用の演奏を整える
録画日と撮り直し・確認の予備日
- 2か月前
提出物を一式そろえる
再生・形式・記載内容を確認したファイル
- 1か月前
受付期間内に提出する
正式な送信と受付確認、次の試験予定
提出後 → 指定された試験・入学手続きへ
対面用の曲、理論・聴音、語学、現地での受験準備を続けます。提出完了を、準備完了と混同しないようにしましょう。
各校の実際の締切と現在の進度に合わせて動かしてください。12か月は必要期間や合格を保証する数字ではありません。
各月の目標は、練習時間の数字だけでなく、確認できる形で残します。たとえば「録画を頑張る」ではなく、「指定範囲を撮り、音と画角を確認した動画がある」。翌月に進める状態かどうかを、先生と同じ材料で話せるようにするためです。
図の順番には重なりがあります。語学を終えてから選曲するのでも、曲が完成してから書類を集めるのでもありません。毎月、演奏、関連科目、事務手続きのそれぞれについて、今の課題と次の確認日を1つずつ決めます。既に終わった項目は飛ばし、時間のかかる項目には早く取り掛かりましょう。


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最初の3か月で、選曲と現在地を確かめる
最初の相談には、最近弾いた曲の一覧、現在の楽譜、無理なく弾ける範囲の録画を持っていくと役立ちます。曲名だけでは、どこまで仕上がっているかは伝わりません。譜読みの途中なのか、通せるがテンポが揺れるのか、人前でも構成を保てるのかを分けて書いてください。
候補曲は、要項の条件と照合します。作曲家や時代だけでなく、全曲か指定楽章か、演奏時間、暗譜の範囲、録画と対面で求められる曲の違いを確認します。既に弾ける曲でも、今回の条件に合うとは限りません。逆に、新曲ばかりを並べると、解釈や通し演奏を深める時間が不足することがあります。
練習の見通しは、難しい1曲だけで判断しないようにします。たとえばフーガの声部は追えていても、ソナタを最後まで弾くと集中が切れるなら、2曲の準備は同じ段階ではありません。曲ごとに「読譜」「音楽の整理」「通し」「人前」のどこに課題があるかを記録し、次のレッスンで扱う範囲を絞ります。
要項が未公表の段階では、前年の条件を仮の参考にしつつ、変更できる余地を残します。ウィーン市立音楽芸術大学(MUK)のピアノ受験ページは、確認時点では2026/27年冬学期入学の案内でした。ザルツブルク・モーツァルテウム大学のピアノ学士ページも、掲載日程は2026年です。そこにある日付を2027年に読み替えず、志望年度が掲載されたら選曲と計画を再点検してください。
語学・理論・書類は演奏と並行して進める
ドイツ語圏への進学では、必要な語学証明と、レッスンで音楽をやり取りする力を分けて考えます。ベルリン芸術大学(UdK Berlin)のピアノ学士課程の案内は、ドイツ語B2を求め、証明は入学登録までに追加提出できるとしています。これは同課程の案内であり、ドイツやオーストリアの音大すべてに共通する条件ではありません。
自分の課程について、認められる証明、必要な水準、提出時期を確認し、試験日から結果が出るまでの時間も予定に入れます。音楽用語を覚えただけで、正式な語学要件を満たせるわけではありません。一方、証明を取得しても、曲のどこから弾くのかを聞き取る、指示を言い直してもらう、自分の解釈を説明するといった練習は別に必要です。
音楽の学習に使うドイツ語は、普段の練習と結び付けられます。今弾いている曲の形式を説明する、テンポやアーティキュレーションについて短く質問する、分からなかった指示を確認する。このような場面をレッスンで試すと、必要な言葉が具体的になります。ロンドンなど英語で学ぶ進路でも、受験曲について英語で話す準備を並行して進められます。
理論・聴音などの試験がある場合は、早い段階で公式の出題例を確認します。モーツァルテウム大学の掲載案内では、ピアノ実技とは別に音楽理論・聴音が設けられています。弾いて理解できる和音でも、聴き取って書く、言葉で答える課題では戸惑うかもしれません。ピアノの練習が順調かどうかとは別に、必要科目ごとの現在地を確かめましょう。
書類も、手元ですぐ作れるものと、発行を依頼するものに分けます。卒業・成績証明、履歴書、志望理由、翻訳などは、志望校が求めるものを一覧にしてください。必要な形式や認証の有無は提出先に確認し、発行元へ相談する日を決めます。渡航・滞在の手続きも早く調べ始め、国籍や滞在目的に応じた公的な案内で必要事項を確認します。
教授への相談は、質問を具体的にしてから
気になる教授を見つけたら、現在の所属と担当課程、大学が案内する連絡方法を確認します。最初に伝える内容は、希望課程と入学時期、これまでの学習、現在の曲、相談したい点です。録画を送る場合は、相手の案内に従い、再生できるリンクかどうかを自分でも確かめてください。
質問は「合格できますか」だけで終わらせず、準備の判断に使える形にします。「この曲の組合せは、希望課程の条件に合っていますか」「事前に演奏を聴いていただく機会はありますか」など、返答を受けて次の行動を決められる問いが役立ちます。事前レッスンの有無や受入れ状況は、教授・大学ごとに確認が必要です。
相談への返事や好意的な講評は、正式な出願や合格通知とは別です。返答を待つ間も、公式の出願準備は進めます。連絡を手伝ってもらう場合は、誰が文面を確認し、誰が送信し、どこに返事を記録するかを決めておくと、締切に関する伝達漏れを防ぎやすくなります。
スイスも一つの仕組みでまとめず、課程単位で確認しましょう。チューリヒ芸術大学(ZHdK)のピアノ学士の案内では、確認時点の秋入学の選考は終了し、次回の案内は11月中旬に掲載予定とされています。前年の情報だけで申込み日を確定せず、「11月中旬に公式ページを再確認する」という予定を今の計画に入れます。
提出の6〜3か月前に、録画と模擬演奏を重ねる
録画は、最後に記録する作業だけではありません。まだ直す時間のあるうちに、指定される範囲を通してみる機会にします。短い部分では弾けていても、曲の後半で音量のバランスが変わる、曲間で集中が途切れるなど、通すことで分かる課題があります。
撮影条件は、志望校の最新指定を見てから決めます。演奏範囲、編集の可否、本人確認、音と画角、ファイルやリンクの条件を確認し、本番用の録画の前に短いテストを行います。機材を買い足す前に、手元と演奏者が必要な形で映り、弱い音から強い音まで聴き取れるかを確かめましょう。
提出先ごとの手続きも区別してください。たとえばUdK Berlinのピアノ学士案内では、正式書類の申込みに加え、BEMUSへの動画アップロードが必要で、動画の締切は出願期間と並行しています。一つの画面で登録が済んだからといって、すべての提出が完了したとは判断できません。
模擬演奏では、通しのたびに全部を直そうとせず、次に扱う課題を少数に絞ります。冒頭から弾き直す練習だけでなく、指定された楽章や途中の区切りから始める練習も入れます。暗譜の不安がある部分は、指の動き以外にも手掛かりを持つ暗譜の練習を参考に、楽譜と音楽の構造へ戻って確かめてください。
普段と異なる楽器や空間で、弾き始めるまでの流れも確認します。写真は参考イメージです。
最後の2か月から、提出後の実技まで
締切が近づいたら、練習と提出確認の時間を分けます。録画を何度も撮り直しているうちに、必要な書類の不足に気付くのが遅れることを避けるためです。提出物は、本人情報、曲名、再生の可否、指定形式、提出先を一つずつ確認し、送信後は受付メールや申込み状況を保存します。
モーツァルテウム大学の案内でも、アカウントやプロフィールの作成だけでは正式な申込みにならないと説明されています。大学からの連絡を受け取れる状態にし、迷惑メールや応募ポータルも確認しましょう。提出後の差替えや不足書類への対応は、独自に判断せず、公式の指示に従います。
録画提出が済んでも、対面で求められる曲や関連科目の準備は続きます。普段と異なるピアノでの演奏、待ち時間の後の弾き始め、曲目の指定への対応を、無理のない範囲で試してください。人前で弾くときの準備では、聴き手のいる練習を段階的に増やす方法も紹介しています。
現地での受験が決まったら、集合場所、時刻、持ち物、楽譜、利用できる練習場所を確認します。移動と宿泊の予備時間も、練習予定と同じカレンダーに置きましょう。費用は受験料だけでなく、証明書、語学試験、録画会場、渡航・宿泊など必要な項目を分け、変更や再手配が生じる場合も考えておきます。
試験直前に新しい弾き方へ大きく変えるより、これまで準備した内容を再現できる状態かを聴き直します。結果が出た後には、合否だけで練習全体を評価せず、残せた力と次に必要な準備を書き出してください。入学する場合も、手続き、語学、渡航の残りの条件を最後まで確認します。
残り時間が短いなら、今週の相談から始める
出願まで半年しかなくても、12か月分の作業を単純に半分の期間へ詰め込む必要はありません。最初に、出願資格、未完成の曲、語学証明、発行に時間のかかる書類を確認します。そのうえで、今の曲を生かせる課程なのか、受験時期を変えるほうが準備に合うのかを相談しましょう。残り月数だけでは判断できません。
次のメモには、志望先がまだ一つに決まっていなくても記入できます。「未確認」と分かる項目が残ることにも意味があります。質問する相手と次の確認日を決めれば、調べ続けるだけの状態から一歩進めます。
相談前に、4つだけ書いてみる
入力内容はページを離れる前にコピーしてください。このメモから申込みや送信はできません。
演奏を聴いてもらうときの質問
今の曲で準備を進められるか。先に直す課題は何か。次に通し演奏を聴いてもらうのはいつか。この3点をメモすると、次の練習に移りやすくなります。
未公表の条件があるときのメモ
前年の資料には年度を明記し、確定した条件と分けます。公式の掲載予定日と再確認日を記録し、新しい要項が出たら曲目と提出物を照合してください。
Vienna Piano Schoolでは、ピアノの受験準備に加え、ドイツ・オーストリア・ドイツ語圏スイスでの進学に向けた音楽ドイツ語、専門語彙、教授との連絡や準備・出願の進め方もご相談いただけます。英語でのピアノ指導や音楽について話す練習にも対応しています。正式な語学証明の取得や各校の選考は別の条件として確認し、必要な支援の範囲を一緒に決めます。
講師EneaはMUKでピアノの学士・修士課程を修了し、モーツァルテウム大学でも学びました。詳しい経歴は講師紹介をご覧ください。最初の相談には、希望課程、今の曲、最も早い締切をお持ちいただくと、優先する準備が具体的になります。30分の無料体験レッスンはオンラインで受付中です。東京都内の対面レッスンは2026年10月から始まります。
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